竹垣エトセトラ
材料・情報

竹垣というのは、狭小スペースにおいて、一番の目隠し効果を発揮できるものです。
他にも境界、結界代わりや、樹木と組み合わせて庭を彩ることもできます。
施工例をあげながら、基本をお伝えしたいと思います。

相嶋造園

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建仁寺垣と四つ目垣
 竹垣を作る場合、そのほとんどが建仁時垣か四つ目垣と言っても過言ではありません。
正確のまったく違うこの2種類を組み合わせるだけで、庭の竹垣を間に合わせることができるほどです。

 建仁寺垣は、京都にある建仁寺が発祥であるという説もありますが、正確な由来はわかっておりません。
 竹を隙間なく立てていくその作りは、竹垣の中で一番実用的な種類といえます。

 これは他の竹垣にも言えることですが、一口に建仁寺垣と言っても、数種類の作法や作り手の場合わせなどによって、パターンが違います。さらにアレンジが加えられると、バリエーションは星の数ほどになってくるでしょう。

 こちらは我が家の入り口の建仁寺垣。
御影石の縁石の上に、180cmの高さの竹垣、その上に1m強の高さでモチの木が植えられています。単に竹垣を作るだけでなく、生垣との組み合わせもそれぞれが引き立つのでお奨めです。
 建仁寺垣は、目線をほぼ完全に塞いでしまうところから、まさに’塀’というイメージがぴったりきます。
しかし、ブロック塀などと違い、重みや無骨感がなく、自然で軽やかに庭を演出します。
ただし耐用年数はブロック塀に比べ格段に短くなる(8年〜15年)ので、作り替えは必要になりますが。

 こちらは両面表側扱いの建仁寺垣。通常割り竹を立てるので、垣根の裏面は白色の竹の内側が見えてしまいます。そうならないように割り竹を2枚内側合わせに立てていきます。そのため倍の量の割り竹が使われています。

 玄関前のちょっとしたスペースにも目隠し代わりに重宝します。柱が立つ幅があれば作れることが利点。

 ブロック塀の切れた上を目隠しするために作製した建仁寺垣。
部屋からお隣が見えないようにすることを目的にしています。高さは2m以上ありますが、下側を空けることで、狭い庭に圧迫感を与えないことと、ブロックの格子線を模様のように見せようと思いました。

 その利点を生かすと、このような演出をすることもできるようになるのです。

腰高までしかない垣根の上に、笹が覗いています。
道路から家が見えるのはよしとしても、足元は見せたくないのが人情。ここは道路がさらに低い位置のため、これで十分なのです。

 一見すると普通の建仁寺垣ですが、割り竹ではなく細めの丸竹を使用して作られています。
見た目は幾分落ちますが、竹を割っていないので耐用年数は延びます。

 さらにこちらは極細の竹を用いて作られている垣根。
どこかのお寺の垣根だと思います。
細かいと施工は大変ですが、見た目はすばらしいです。

 建仁寺垣に作った袖垣の上半分に、竹の枝部分を挟み込んであります。
この左側から低い四つ目垣が続き、庭を仕切ります。

 丸竹を十字に組むように作られた竹垣を、その四角いデザインから四つ目垣と呼んでいます。元々視界を遮る垣根ではないので、それほど背の高い四つ目垣は作りません。

 箱根の公園の園路。四つ目垣の大きな目的の一つは、境界としての役割でしょう。
園路と植え込みを分けるだけでなく、表の庭と中庭を分けたり、そこから趣を変えたいときなど、施工が簡単なだけに、ちょっとした場所でも重宝します。

 奥庭に続く園路には、木戸と組み合わせて使われることが多いです。竹の高さを変えたり、2本一緒に立てたり、アレンジは多数存在します。そういう意味で、四つ目垣は一番バリエーション豊かな竹垣です。

 生垣を作る際、小さな苗木を植えてもすぐには形になりません。
そういう場合、四つ目垣も一緒に作製して、最初は竹垣を見せ、生垣が出来上がった後、竹が朽ちても大丈夫という2段構えの仕様も良く使います。5年あれば生垣は見られるようになりますので。
左は、ドウダンツツジの生垣プラス四つ目垣、その上にコノデヒバの列植が来ます。落葉樹と、常緑樹のうまい組み合わせの例でもあります。

 上に目隠しの建仁寺垣、下側に日が当たるように四つ目垣を。
内側には坪庭が作られています。

 生垣ではなく、テッセンを絡ませて、支柱兼仕切り用竹垣としたもの。

種種多様な竹垣たち

 丸竹を数本づつ組み合わせて作られる鉄砲垣
家の玄関前などの、目隠しや袖垣としてよく用いられます。

 低いものはひざ下しかない垣根、金閣寺垣。しかし四つ目垣よりしっかりした作りが、存在感を出していますし、豪華に見せています。
これもパターンが多い竹垣の一つ。

 飛び石が同じように奥まで続いて行きますが、一端垣根で仕切りができていると、気持ちも一新されます
ここでは今での広い庭の空間から、一気に凝縮された狭いスペースに変わっていきます。

 竹の穂の部分を立てていく御簾垣。建仁寺垣より時間と手間がかかります。
どちらもお寺の垣根です。建仁寺垣よりも素朴な感じながら、より深い味わいがあります。

 鉄砲垣と御簾垣を交互に組み合わせた袖垣。水戸偕楽園のものです。
このようなアレンジが、作り手の腕の見せ所でもあります。

 独特の形をしている光悦寺垣。細かく裂いた割り竹を太く巻いていく仕様と、湾曲して地に突き刺さるようなデザインに人気があります。中側は、割り竹をひし形に編んでいます。石楽園の茶室より。
 右写真は、それを簡単にした垣根で、似たような形の垣根がいくつか存在します。

 菱矢来垣。十字の四つ目ではなく、菱形をした竹の組模様が特徴。
水戸偕楽園の園路より。

 巧妙に竹をあしらう編み垣。これは通りがかりの一般のお宅の垣根。横だけではなく、縦に割り竹を編む技法もあります。

鎌倉の造園屋さんの軒先にディスプレイに作られていた垣根。技術が光ります。

 成田の花植木センターに作られている竹垣の施工例。
実際、色々なパターンが展示されていて参考になります。
普通目にすることのない形の竹垣も作製してあるので、興味のある方は見に行くと面白いですよ。

 フラワーフェスティバルで出展されていた竹垣をあしらった庭の施工例です。ちょっとやりすぎな感はありますが、これだけの技術と、創作力があることはアピールされます。
青竹の新鮮さと清涼感がたまりません。竹の色合いの変化も楽しみの一つです。

 様々な技法が使われているお客様のお庭。畳10畳ほどの省スペースに、目隠しと仕切り代わりに竹垣や、杉皮で仕上げられた木戸が使われています。
見本のような完成されたお庭です。

様々な竹のあしらい
竹垣以外にも、庭の中で竹を使用してちょっとした自然なよさを演出できます。

 主庭への入り口部分を竹垣で覆っています。単に目隠しというだけではなく、狭い間口に対比された主庭の広さを強調する効果や、中が覗けない分入って行く時の期待感が高まります。

 どうしてもエアコンの室外機や給湯器は必要なものですが、庭にあると景観を崩します。そこで竹を用いて庭の景観の一部として溶け込ませます。

 階段の普通の手すりにも、竹で補助するだけで見た目が変わります。鎌倉のお寺のものですが、参考になりました。

 ’竹垣’という加工物を作らなくても、割り竹を曲げるだけで十分仕切り効果が生まれます。
竹ならではの施工です。

 これはさらに究極、竹を横に寝かせただけの結界です。
石、竹、土、この素材の違いが、無理に立体的な施工を考えなくても十分人に園路と植え込みのスペースを区別させます。

 これから庭に竹垣を計画する中で、どうしても避けて通れないのが、プラスティックを用いた偽木の竹垣です。確かにこちらのほうが耐用年数が長いし、材料は全てきれいにできているので、現場施工も簡単です。ただし材料代は倍かかります。

 個人的には自然素材が好きなので、竹を用いたいです。運気をあげるのはあくまでも自然素材、本物の材料で作られたものですから、その観点からも竹がいいです。
また、できあいのものを使うことは我々の創造力も奪います。アレンジが効きづらいからです。
決められた材料で組んでいくのですが、その仕上がりも安易で、腕の見せ所であるシュロ縄の縛りも簡略化されていますし味気ない思います。
材料が均一に仕上げられているので、ぴったり全ての材料が合いますが、竹を用いた場合はそのぴったりしない出来が’自然’なのです。自然を相手にする難しさも感じるのです。

 ただし、最終的な判断はお客様次第。強制できるものでもありません。
それに、偽木が悪いわけではありません。
自分も色々な可能性をご案内することで、最良の決定されることが一番大切なことです。

写真があるだけの竹垣しかご紹介できないのが残念です。
他にも、桂垣、沼津垣、源氏垣…、まだまだ竹垣の仕様はあります。
各地方それぞれに、特色ある垣根もあります。
また、最初に書いたとおり、自分でアレンジすることで基本に個性あるアレンジが加えられるのですから、作るこちらもお客様のお庭に合わせて考えをめぐらせる楽しみも生まれます。
それだけに、町を歩きながら竹垣を見て歩くことも楽しい散策ですよ。