2011年、東北大震災がありました。
そして福島第一原発事故による放射能の飛散は、関東地方においてもかなり深刻な問題を起こしております。とりわけ、千葉県北部は高濃度の放射能が降り注いだことでも名が知られてしまいました。
実際、そのせいで自分の仕事にも影響が出ています。
しかし、行政や東電はどこまで手助けをしてくれるでしょうか?
自分が仕事をしていてよく聞くのは、「我々なんかより被災地の人たちはもっと苦しんだから、このくらい我慢しないといけない。」
というみなさんの配慮の気持ちです。
これは日本人らしい美徳だと誇ってもいい一面と、だからと言って、何もしないで知らないフリをするわけにはいかないと言う気持ちも持ちます。
自分は仕事の中で、少しでもお伝えできることをお話することにしています。

今回行う芝張り作業も、その真っ只中での作業です。

放射能と芝張り
植栽・施工

 2012年に入って、例年以上に何故か芝張り作業が増えました。
正直、自分でも何でこんなに増えたのか不思議です。頼まれるお客様からも、「特に意識して’今’のわけではないんだけど…」と言われるのでそういう周期なのかなって思います。
 世間のニュースの中で、放射能が溜まりやすく、数値が下がらない場所として’芝生’が挙げられることがあります。
実際、芝生の撤去作業も報道されますし、はがしたいという相談もあります。公園でも芝生内立ち入り禁止の場所も少なくありません。

 自分も、普段から簡易放射能測定機を持っています。
皆さんお世話になっている方の多い、ネットショップ・アマゾンで、5,000円で買った国産品です。
値段だけ見るとかなり怪しい製品に見えますが、これが精度も悪くないようで、これでダメなら10万円台で探さないと性能差は現れないと言われましたので、試しに買いました。
 我が家を測定した際、市から借りた13万円の測定器で測った場所をその測定器で測っても、確かに数値は変わりません。ですから信用することにしています。より正確な数値が欲しければ、何度も同じ場所で測定して平均値をちゃんと出すことです。
 欠点は、1mの高さで測定すること。本来5cmで測れる方が間違いのない数値を出せると思います。
国の基準の50cm〜1mの高さで0.23マイクロシーベルト以下であればいいということであれば、意外と何とかなってしまうからです。しかし、1mではそれほど差がない数値でも、5cmの高さにすると大きく変わることがあります。
より安全な数値を知りたいなら、5cmの高さで測るべきだと思っております。


 今回ご依頼のお客様も、まさに千葉県北部地区にお住まいです。
植木センター時代からのお客様ですので、付き合いも長くなりました。
そのお客様が、空いているスペースに芝を張って見栄えを良くし、そこで趣味のパークゴルフの練習をしたいと相談を受けました。

相嶋造園

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放射能なんて厄介事が、こんな身近で起こるなんて考えもしませんでした。
いくらずさんであったとしても、これほどの事故が日本で起こるなんて信じられない人が多かったと思います。
いつか過失があると思っていてもです。
すでにパンドラの箱が開いてしまった以上、少しでも改善しなくてはなりません。
自分の行う計測なんてたかが知れています。
それでも、今まで関心がなかったり、自分ちは測ったことがないという方がこれほど多いとは思いませんでした。
どうするということではなく、先ずは現状を知ること、それって大切なことだと思います。
パンドラの箱の底には、希望だけが残っておりましたが、希望を明日につなげるのは人の努力だけです。

 細長い土地です。芝を張る面積は約150u。縦に30m以上あり、パークゴルフの練習コースとしてもなかなかいいそうです。
問題は、表面を覆う砂利です。元々駐車場にしていた土地だったので、ご自分で作った花壇と畑以外は手付かずです。
このまま芝を張ることも可能です。目土さえしっかり入れれば芝を根付かせることができると思うからです。
 しかし、今回は練習場にもならなければなりません。
一度花壇以外を整地し、多少奥に勾配を付けた形に土盛りして、その上に芝を張ることに決まりました。

 こちらのお客さまとの出会いは、植木センターに椿を探しに来られたところを相談にのったことからです。
 色とりどりの品種物の椿を10数本選んで、列に植えてほしいとのご依頼でした。そのときの椿がちょうど今、満開の花を咲かせております。

 ここでお客様にはっきりさせておかなければならないことがあります。
それは、芝を張ることに対する意思確認でもあります。
 現在放射能問題から、こちらのお宅の周りでも、芝をはがしている方がいらっしゃるのに、張る方向で大丈夫であるか。そして、一番の問題は、現在芝を出荷している産地は茨城県筑波周辺の畑のものであることです。
 芝の取引をお願いしているのは、地元の仲間です。一緒にその産地に行ったこともあります。
全て農協を通して販売している畑からの引取りになるので、農協が責任を持つという安心感はあります。
 しかし、放射線量が低いとは言い切れません。
確認してもらうと、検査はしているし、数値は0,1マイクロシーベルト前後らしいと言われました。
 いくら基準値以下とはいえ、お客様に隠していい情報ではありませんから、それでも大丈夫か確認いたしました。
奥さまは多少心配しておられましたが、歳を考えると今更という考えもあり、大変やる気なご主人を引き止める要因にはなりませんでした。

ということで、施工開始です。施工ごとに放射線量を測っております。

 施工当日、ご主人が邪魔なものを全てご自分で片されてお待ちしてりました。
 何せ多趣味な方ですから、会社は息子に任せたと言いながら、休むことなく色んなことに挑戦されています。
 庭作りもその一つ。感心するほどバラも綺麗に作られ、野菜や果樹もたわわに実らせております。
 
 この土地も、後から買い足したもので、下の土地と区切られております。片してみると、かなりガラや砂利が多く露出していることがわかります。

 では、何も手をつけてない状態で、一度計測してみます。
砂利など石ものも、意外と線量が高かったりします。端から5箇所くらい怪しそうな場所を計測。大体平均してこのくらいでした。残念ながら1mの高さにも関わらず、0.1を下回る数値は確認できず。
測り方や機械、場所によるので、あくまでも目安と捉えていただきたいと思います。

 上記の数値を超える場所が1箇所ありました。
それは畑にしていた場所です。
 土が柔く、雨が浸透しやすいせいでしょうか、意外と畑って高いことがある経験から怪しいポイントに上げていたこちら、やっぱり高かった。
 しかし、畑でもちょっとずれたら0.14でした。
この微妙な場所の違いで変わってくるのが難しいですね。

 放射能なんか気にすることもできず、その瞬間の春を一生懸命生きる花々を見ていると、人間って何なのかな?って疑問に思いますし、深刻に放射能考えている気分でもなくなってきます。
 自然は、そこにある環境を受け入れることしかできないんですから。

 ミニショベルを使って、砂利を埋めていきます。この後土を入れますが、今のうちにできるだけデコボコが少なく、砂利が邪魔にならないように平らにしていきます。同時に土を踏み固め、芝が後で波打たないようにします。
それでも完璧にはいかないところが難しいんですけど。

 大型ダンプで1台土を入れ、後もうちょい欲しい分はトラックで土を引取りに。
 後は時間の限り均します。こういう時、一回り大きいショベルが欲しくなったりますね。整地技術が下手な分時間でカバーです。

 土を入れたところで再び計測です。
 出ました0.05!これはちょっと出来すぎの数字です。それでも0.1以下までどこの場所も落ちました。
これを鑑みると、今の国の除染作業も効果はあるってことですね。
 ただし、セシウムがなくなったわけではありません。
この沈んだ放射能は一体どうなるんだろう?セシウム134がどれだけ比率が多くて、半減しれくれるかが今後の鍵です。

 では、張る芝はどのくらいの数値でしょうか?ほとんどが0.1以上の数値です。中には0.14や0.19!の数値も出ました。そりゃ基準値以下ですが、0.2に迫る芝は使いたくないですね。この芝の2回目の計測数値はもうちょっと落ちましたが、意外と高い値に、やはり茨城も低くはないと改めて認識。全個数検査をできるだけ実施して欲しいものです。

 とりあえず、この数値を黙っていることができず、運んでくれた仲間に連絡です。
「いやさ、やっこさんたちは、0.2くらい出たって平気な顔してるよ。今出荷間に合わない状態でフル回転しているから、それで嫌なら買わなくていいって勢いだよ。」
と、信じられない回答がきました。
 直接頼んでいる芝は、厚みがあっていいものを選んでくれています。とはいえ、この芝と同じものが大手のホームセンターにも卸されています。自分はそちらからはクレームが来ないことが不思議でもあります。
農産物はどこでも検査しているのに、芝など食べないものは誰も計らないのでしょうか?
 お店で買った人だって、どのくらいの数値か気にならないのでしょうか?
誰かが気にしているという曖昧な安心感と、うちの方は大丈夫なんだろうという根拠のない自信は、未来に自分たちに跳ね返ってくる厄介事にならないことを祈るだけです。

 やらなければいけないことは終わらせましょう。目土をかけて、きれいに張り込めば、また数値が変わるかもしれません。
 黒土を引取りに行き、、目土として敷きこみます。

 2月から相談を受けておりましたが、作業は芝が緑になる4月に入ってから行っております。結局芝の新芽が伸びていない茶色いうちから張ったとしても付きが悪いだけです。こちらは6月には芝刈りが必要なくらい伸びるでしょう。

 さて、どのくらい数値は落ちたでしょうか?
0.1?0.19!?なんか張る前と変わらないじゃないですか。今回は除染が目的ではないので、下げる必要があるわけではないですが、ほとんど張る前と変わらなのも微妙な感じ。これが乾燥するとまた変わりますかね。

 こちらのお宅では、どの木も花が満開なんです!ひどい話です、それなのに放射能の話をしなければならないなんて。
 誰が悪いとかではありません。地球上に住んでいるのは人間だけじゃないことに早く気づくべきです!