お客様のお知り合いのお宅が家を建て替えることになりました。
ほとんどの庭木を整理してしまうそうです。
家の方ももったいないと思っていて、もらってくれる方がいれば育ててほしい、という要望にお応えしたお客様から移植の御相談をいただきました。

〜移植大作戦〜
植栽・施工

 千葉県の我孫子在住のお客様から、松と梅の移植をお願いしたいという御依頼をいただきましたので、まずは現場を見せていただくことにしました。
 その時は、敷地内での移動だと思い込んでいたので、お宅を拝見すればいいものだという頭でおりました。
行ってびっくり。掘る場所は横浜の戸塚区。そこから我孫子まで運んできて、お客様のお宅に植えこむというもの。
しかも道路から10数メートル中まで入れこまねばなりません。
 「こういうことってできる?」
できません。なんて絶対言いたくないので、「大変であってもやってやれないことはないですよ!」
と根拠のない自信を見せ、移植大作戦がはじまりました。

植えてしまえば何てことはなく感じます。
しかし、実際の作業は見えない地面の下と、掘る樹木の大きさによって全然変わります。
自分も作業しながらの撮影なので、十分な画像がなく伝わりづらいですですが、久しぶりに大掛かりな移植作業でした。
こちらの言い値でやらせてくださったお客様、お手伝いくださったご友人の方に大変感謝します。
ほとんどの場合、移植は買い換えるより高いものにつきます。
しかし、あるものを活かすという考えは大変すばらしいことです。
同じ樹木は一つもありませんし。
今回、改めて活かせる努力に感動いたしました。

相嶋造園

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 戸塚区、我が家から車で2時間から3時間の場所に位置します。
移植するとなると、どれだけの木かでかなり仕事も変わってきます。
本来なら一度現場を見に行きたいところですが、いかんせん下見に行くにはついでという場所ではありません。
 お客様からいただいた左の写真と、ストリートビューで見ることのできる現場画像を参考にシュミレーション。掘りに行くのは1日で終わらせたい仕事です。
現場の重機が応援で合間に手伝ってもらえる。お客様たちも掘り作業を手伝ってくださる。ということで日程を調整しながら、後は得意の現場合わせで何とかするしかない気持ちで乗り込みました。

 現場到着後、梅の枝を短く切り詰めたときの画像です。予想以上に太い…。
 やっぱりまた聞きの打ち合わせでは全て予定通りとはいきませんでした。

 聞いていたところでは、今日から作業という感じでしたが、行ってみるとすでに家はありません!
そこまで解体が進んでいたとは…。しかも重機は大きいもので、返って枝の下までバケット伸ばし侵入するのは難しいです。
ここは人力で頑張るしかありません。

 まずは松から掘り上げます。
印のある樹木以外はいらないとのこと。
松の周囲の石や木をどかしてもらいます。
 こういうとき重量負けしない大型の重機は強い。一気に回りを整理してくれます。
後は地道に回りを掘り、根を切る作業です。
お客様が土の掘りあげを手伝ってくださいます。
 実際は急いで作業しているので、写真を撮っている時間がおしく、あまり細かい写真がないのが残念です。

 どうやらこの松は10年くらい前に買い足したものだということがわかりました。
すると、一度根巻きをしてここに届いているわけで、それほど根が荒れていることはないと判断。
 今回の松や梅は、細かい根より、太い根が数本木の真下を中心に走っていく性質の木です。
ここで無理に掘り上げたら根鉢が崩れ、移植の成功率が絶望的レベルまで下がります。
ですので、真下の根は掘らずに、樽巻きという技法で周囲から布で保護し、縄で根を締め上げて崩れないようにします。

 同じ要領で、梅も掘ります。
こちらはここに来て30年。樹木としては100年は経っている木と判明。
高さ以上に、幹が太い!。いくら時期はいいとはいえ、こちらも根鉢を崩すような掘り方をしたら、かなり厳しいでしょう。クレーンで枝を吊り、倒れないようにして周囲を掘ります。いつの間にか皆さん掘るのうまくなっちゃいました。

 松も梅もこのように根を巻きます。
できるだけ小さくしましたが、それでもかなりの大きさです。
取り去った庭は、外からみても広く、殺風景になっちゃいましたね。

 車に積み込み、厳重に縄をかけます。これから東京を越えて千葉まで帰らねばならないわけで、途中揺られても心配のないように必要以上に縛りこみます。
 車に載る大きさとはいえ、かなり横幅いっぱいでした。

 移植場所はこちらです。道路に面する木戸から、森林の遊歩道のようなアプローチを抜け、枯山水にも似た居間の前の中庭に植え込みます。

 アプローチから見て居間は左側になります。その中から見て、一番いい向きに植えます。
樹木の大きさからして、松を左手の井戸のポンプ脇、梅を右側の大きな石の奥に、石に合わせて植え込むことにします。

 先ずは松から作業。クレーンのブームの伸びる部分の枝をはらいました。
 松は何とか一輪車に載せられる大きさでした。

 重さ数100キロの松。お客様と3人で人力で引きこみました。限界と思いつつ、無事穴まで到着。落としこみに成功です。
 井戸のポンプに蛇口があり、ダイレクトに水を根穴に入れられます!このゼロ距離注水は初体験。感動の楽さでした。

 続いて難問の梅の移植に。なんと重さ1,2トン!原始的に板に載せ転がそうとしましたが、ロープで引いても、鉄棒で押してもびくともせず。
 急きょミニショベルを取りに行き、機械に頼ることにしました。我が家の1,5トンのショベルでは引っ張るのが精いっぱい。ゆっくりと穴のそばまで移動させます。

 松と梅をいただいたお客様が心配して手伝いに来てくださいました。ありがたいことです。最後はうまく入れこんで、穴を埋めてひと段落です。
 ショベルがあれば穴を掘るのが楽だったかもしれません。しかし、温水パイプが掘った穴の横から出てきたことを考えると、機械で掘らないでよかった。

 形を見ながら枝を整理します。元々植えてあった向きで仕上げましたが、逆向きでもよかったかと複雑なところ。屋根にかからないよう、頭の広がっている方向でこちらにしました。
 時期はいいとはいえ、細かい枝を残せるほうが、水揚げやその後の枝の伸びがよくなります。新芽が吹いてから、全体の形は仕上げ直します。

 松は場所に合わせ剪定しなおしです。
枝がかなりあがって重なっていましたから、全部作りなおしました。コンパクトながらいい形になってまいりました。このサイズは貴重です。

 移植が完成です。
周りの石や砂利の扱いに合う形となりました。この樹木と場所を選択したお客様は流石としかいいようがありません。