回遊式庭園とは、庭を外から眺めるものではなく内部を歩いて色々な庭の顔を楽しむ、一種の大人の遊びであると言えます。
現存する、日本を代表する庭園の多くが、そういう作りになっています。
世界中で色んな様式の庭があるとしても、やっぱり庭は楽しむ場として作れます。
しかし、日本人のすごいところは、そこに哲学や思想を練りこんでいることです。
自分はそこまで高尚になれませんから、歴史や作法とはちょっと違う、何でもありの歩いて楽しめるお庭を作ってみました。
それを勝手に今風と題してみました。

今回は、家の敷地全体の植栽をゼロから作ります。
ボックス型の植栽スペースや坪庭も含め、土の残る部分の大半を任せていただきました。
主庭を含めてお宅まるごとの庭作りです。

〜お宅まるごと庭作り〜
今風の回遊式庭園を作る・中編
植栽・施工

 前編では、家の外から始まり、玄関前や坪庭の植栽へと移っていきました。
いよいよ中編で、主庭の紹介に入ります。主庭における大きなテーマは、’自然回帰’です。
もちろん、勝手にそう思い込んで作っております。
このお庭は、遊歩道を進むうちに、作りこんだ植栽が、野道に変わり、鬱蒼とした自然に至るように考えました。
 その意味では、表から見る空間を広く、材料も大きなものを使った作りと、路地を歩いて回るときの細かいものが押し寄せるように植えてある道との、庭の表と裏で同じ顔ではない面白さも演出してみました。
どれだけ自分の意図通りにできたかは別として、まるごと庭作りの醍醐味をお楽しみください。

相嶋造園

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見やすくするため画像を大きくしたせいで、ページのデータがかさんでしまいました。
一度ここで区切りを入れて、回遊式庭園の奥の園路をさらに詳しくご案内したいと思います。
後編をお楽しみに。

 長さ24m、幅9mある、細長い敷地です。日当たり良好!作りがいのあるお庭です。
 木を植え込む前に、目の前のブロック塀を何とかしましょう。どうも自然の野道になりませんから。

 樹脂製の杉板を用い、板塀を作ります。メンテナスフリーなのに、質感がとてもいいことにお客様も気に入ってくださいました。今回の予算の約4割を、この板塀と御簾垣にかかっていますが、それだけの価値ある投資だったと自分でも思いますね。
 この施工だけで、毎日2人で4日かかりました。材料引取りなどと合わせ、5日が費やされました。

 カントリー調を目指したので、なかなかいい完成具合だと自負しております。
 最後に支柱にコンクリートをまわして安定させると終了です。
 雰囲気が一変したところで、奥側から植栽をスタートさせます。

 大きなイメージはあっても、これだけ広いく、しかも材料が少ない時期だけに、使えそうな材料をどんどん仕入れ、イメージに合うように組み合わせて植えていきます。

 奥の植裁から、手前側の施工へ。
 連日パドメさまが助っ人として来てくださり、細かい植栽を担当してくださっています。
 きっとお客様も何を毎日ちまちまやっているのか、こんなんでいい庭ができるのか不安に思っていた時期でしょう。

 ちまちま作業がひと段落したら、ここからは広々空間作りです。
 真壁の石材店から直接仕入れた御影石の敷石100枚を、変化をつけながら敷き詰めます。
「ここでバーベキューやろう。」お客様も庭への新しいイメージを作っていきます。
 しかし、ちまちまタマリュウ植えも続きます…。

 大詰めです!こちらのメインツリー、垂れもみじが運べる寒さと、芝生を張るのにぎりぎりな温かさの頃合に同時作業です。「垂れもみじが入ったら、急に庭らしくなったね。」お客様にも一定の満足感を感じていただけたようです。

 奥にそびえる桜の大木に勝てる木を植える根性がないので、逆手にとって奥を締める最高の借景としました。そのおかげで、奥行を感じる庭ができました。

 最後に、あまりにも見えすぎて品がありませんから、芝の中にシャラの株立ちを植えます。抜けすぎていた空間が遮られることで、庭への期待感も高まります。

 太い幹を切って、細い幹を仕立て上げなおした樹木です。最初からここに植えるために準備していました。持ってきた草花の植える場所がなくなってしまったので、シャラの周りに植えました。本当なシンプルに植えたくなかったのですが、これはこれで華やいでいいかな。

これで、予算範囲内の自分の作業は終了いたしました。もう一度入口よりご案内いたします。

 御影調のブロックに映える、赤い砂利が目を引く植栽です。植栽も赤系統を基調にしました。

 実はボク石だけでなく、赤い三波石も交ぜています。
 カルーナ、セダム、バーハーバー、ブルーエンジェル、そして赤い線が美しいコルデリネを用い華やかさと、優雅な空間を演出です。

 左写真左はしにかろうじてに見えるはルブス’クラシック’。今はレッドストーンに色負けしている植物ですが、これからどのくらい成長するでしょうか。

 10月、ススキの穂がきれいに出ました。ここは独立した植え場なだけに、樹形が乱れても、ボサボサになっても、根がはびこってもいいものを植えています。なかり土が少ないのが難点ですが。

 シュウメイギクが可憐に咲きました。まずはどの木も根付いて欲しいものです。

 玄関前全景です。まだ植え込んだばかりでさっぱりした印象ではありますが、落ち着いた仕上がりになりました。

 斑入りのアベリアの花もまだ残っています。一年中花がある庭を目指して植え込みました。斑入りの葉は、花がなくとも鮮やかですね。

 落葉樹を多用することで、冬の日差しが入ることとと、枝葉の鬱陶しさの軽減を目指しました。その代わりグランドカバーで緑を確保しています。ドウダンツツジの紅葉もはじまりました。
 セキショウが目地からはみ出すくらいになると美しいですね。

 このつがいのミミズクを置きたくて、それ以上背のあるものを置かなかったとも言えるかも。

 玄関前の乱張りと同じ根府川産の大きな平板をモミジの周りにも使用しています。こちらのアクセントはロケットのような岬灯篭。さらには四国の石など共通部材を入れています。

 ハナミズキ・斑入り葉のステラピンクやハイノキ,など、高級石材に合わせて注目されるの樹木を植えました。
また、石に合わせてこれまた高級品である深山キリシマの玉もの、イワヒバを使用。芝の堺に根止めを入れて一応分離し、ゴールデンモップなどのコニファー類を用い、グランドカバーに芝桜や斑入りのふっき草、これから期待の初使用・姫タマリュウなどを使っています。

 入口からは見えない、モミジとクロガネモチの株立ちの間に、六方石の椅子を置いた休息スペースを設けました。普段のティーブレイクや、バーベキュー時の腰掛けに使ってもらえればいいと思っております。天然石の風格が素晴らしいです。

 御影石の敷石周辺は、あえてシンプルにタマリュウだけに仕上げています。そして、あえて野の道を表現するしたくて土をむき出しにした小道が、自然樹形の木々の間を通り、山野草などの生える奥の細道に合流します。
 右のクロガネモチの本株立ちは、下から切った幹に、雌株を継いで立てているので、必ず実がなる逸品!この周りに下手な植え込みは品を下げるだけです。
 御影石の突き当りには京都産の高級石材で作られたバードバスを置きました。水物による清涼感と、奥の桜を意識した添景物です。

 水が滴る位置には、濡れると鮮やかな赤色を発色する石を置いて遊んでみました。水跳ねは愛嬌で。

 今は何も見当たりませんが、クロガネモチの周りには色んな球根類をランダムに埋めてあります。春にどんな花が咲くのか楽しみです。季節の移ろいのある庭ってやっぱり素敵ですね。

 シャラの周りに植えたダリアたち。玄関前が華やかになったということで結果オーライ。

 奥は自然回帰というにふさわしい折り重なるような植物群です。

 敷石を伝い歩き、砂利に進み、奥の枕木まで土の上を踏まずに進めるようにしました。アクティブにお使いいただるのが願いです。