一戸建てに住む方々に取って、自分の家の庭が広いことは誰しも願うことです。
もっと広ければあれも置けるしこれも植えられる、それにこんなこともできる。
しかし現実的にはそこまで余裕がないのが当たり前。
狭い庭、小さいスペースには植木を植えることもできないのか?
そんなことはありません!
ここにいくつかの施工事例を掲載したいと思います。

狭・小に負けない庭作り@
植栽・施工

 相談を受けた建築中のお客様のお宅を下見に行って、ちょっとびっくり。
その前に図面をいただいていたのであらかたのイメージはわかっていたつもりでしたが、やはり土が少ない…。
でもこれだけスペースがあれば大丈夫。いい庭を作りましょう!

狭いスペースを利用する場合、さらに考えねばならないのが、埋まっている配管や配線。
これらのせいで、掘ったはいいが植えられない場所も出てきます。
なので、事前に出来る限りお庭の状態を知っておくことが大切。
さ頼む場合は早い段階でご相談くださることも大切です。
図面段階でお話できると、設計士さんたちとも意見交換できますし、必要なら一部を変更させてもらうことも視野に入れられます。
それは建売の場合も同じで、作業によっては、トラックが入れられる初期に頼まれると作業効率がよくなったりもします。
こちらのお客さまの場合は、数ヶ月前からご相談を受けていたので、できる限りのご希望とイメージを聞き、こちらの植栽計画をお話し、双方お互いの言い分を聞きあっていたので、スムーズに施工できました。
上記の植栽は、わずか一人で一日完了。(材料仕入れは除きます)
しかも大きい木を植えていないため、1万円を越える樹木はゼロ!
選択が迫られる分、通常以上に考え、計画して、効率よく良い庭を作っていきましょう!

相嶋造園

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 植栽スペース40cmです。L字型をしています。上記の場所は130cmくらいありますが、最終的には右写真と同じで40cmになります。
さらにこの横には塀が立ちます。ここは勝手口の一つにつながることと、犬の避暑地として人が出入りすることになります。

 上記の状態から塀ができてこうなりました。
こちらが玄関から見た植栽スペース。
この位置から見た庭を作るわけです。
さらにこの土の中央部分に御影石の延べ段の通路ができます。それにより植栽は塀側に40cmの細長さしかありません。さらに手前の張り出したところは狭く、20cmそこそこです。

 さらに課題を出されました。
門扉の内側に坪庭ならぬ、半坪庭(100x50cm)の植栽スペースが設けられました。すでに置かれているボク石を使用して(しかも全体の半分の大きさを占めています)、木を植えて欲しいとのこと。木は金芽キャラの玉ものがいいとのこと。

 さらにさらにその半坪庭の向かいにはおしゃれな立ち水栓と植栽スペースがあります。
こちらは内寸50cmはありますね。ここが一番幅広いようです。ただし、管理は大変な場所ですが。それは後ほどご説明します。

 埋め戻しに使われているのは、元畑だったので赤土、その上に山砂が少し乗り、表面は黒土が使われています。赤土より養分も保水性も高いので、土の体積そのものが少ない場所では助かる土が入っていました。
この辺は、良い土を分かっていて入れておいてくれたお客様と大工さんに感謝です。

では、先ず後に出された課題の2つから掲載します。

 半坪のスペースの植え込みは、一番気を使いました。
なぜなら、正に玄関真正面なため、下手にメインだからと大きな木を植えると、玄関から門扉が見えなくなります。
防犯上もよくありませんし、高い塀と合わさり返って全体に圧迫感を与えることになります。
さらに門扉を開けると、この上をわずかですが横切ることがわかりました。しかもその扉の裏手には、新聞受けの開け口もあるのです。
 折角少しでも庭木を植えるスペースを取りたいという熱意から設けられたスペースです。お客様のイメージにあるような大きなものは植えられませんが、入ってきたお客様が好感を持てる植栽がしたいと考えました。
そこで作ったのが、今までにない’見下げる目線’です。

 お客様の意に反して、金キャラもツツジも背のある木も一切使わず、生活の邪魔にならないながらも、風情を感じる植栽に仕上げました。

 何故金キャラは使えなかったのか?理由は簡単。
金キャラの玉ものは、最低でも60cmの大きさがあります。
50cmしかない幅に植えたら完全にはみ出します。ボク石とキャラだけで溢れかえってお互いを潰しあいます。しかも、深みのあるボク石(火山岩)に、派手な金色の新芽はちょっとどぎつく感じます。
 そこで、この石のある山の頂のイメージを再現しようと思い、深い色合いの針葉樹を中心に植え合わせてみました。
 あくまでも主役はボク石にし、入ってきた人々が「これは何を意味しているいるのだろう?」と関心を持ってもらえればと考えました。

モンタナ松

イワヒバ(3種類)

ブルーパシフィック

エルコイデス

斑入りふっき草

タマリュウ

仕上げに伊勢砂利(5分)を、モンタナ松の周囲に防草シートを敷き、砂利を突き入れて完成。

 次に立ち水栓のある植栽スペースに植え込みます。
こちらの問題は、周囲より高くした位置に、土を入れてスペースを作っていること。これでは水はけが良すぎてしまいそう。さらに、上方には家の屋根が大きく張り出しているため、雨水もあたりません。
 なので、選定に苦労しましたが、幸いお客様のお宅のおじいちゃん、おばあちゃんが毎日でも楽しんで水遣りをしてくれることがわかり、それならと木を選ばずに植栽することにしました。

 左側より、金キャラ、ヤマモミジ、玉金芽ツゲ、ヒイラギナンテン、ヤマツツジを植栽。

 枝をさらに長く伸ばさないと花が咲かない木や、大きくしないと見栄えのしない木は使わないようにします。ご要望があった金キャラはこちらに使いました。玉ものは大きさの調整が容易です。毎年決められた大きさで刈るようにすればいいので、省スペースでも問題ありません。
ただし、油断すると大きくなるので気をつけましょう。
 玉の金芽ツゲには、アクセントに小さめの石を合わせてみました。メインに選んだヤマモミジは、おじいちゃん、おばあちゃんのお気に入り。本当は別の場所に植えようと思っていたのですが、こちらの木を気に入られたのでここに合う形に剪定しました。枝が伸びたら好きなだけ切ってもらっても結構なので、窓の目隠しとしてキャラの横に植えました。
玄関前の縁起担ぎにヒイラギナンテンも植えました。

 格子の木製フェンスに合わせ、細かい幹の立ち上がる涼しげで優雅に見えるヤマツツジを使用。
 狭いスペースにおいては、背のある木は落葉樹にすることで鬱陶しくならないように心がけます。その代わり、緑を残すためタマリュウやふっき草のグランドカバーを植えました。
 水栓下部には、元々水受けを作る予定がなかったそうなので、簡易的に作っておきました。土を掘り上げて、すり鉢上に砂を入れ、良く付き込みます。その上に防草シートを3重重ねに敷き、伊勢砂利を敷きいれれば完成。水は沁み込むしホースも置けます。

塀沿いの植え込みに入ります

 玄関の横には、背の高い木は植えませんでした。高い塀があるため、どちらも高いと圧迫感が増し、奥へと入っていく気がしなくなると考えたからです。

 と言っても、ここは奥への期待感を持たせる場所。一番目に付く場所には大実ブルーベリー’ブルーシャワー’を配置。
今後もっと大きくしてもいいようにゆったりしたスペースを取ると同時に、ボク石の余りや、西洋ヤブコウジ、細葉アオキなどを下に植え、根元部分が寂しくならないようにしてあります。ブルーベリーは実だけではなく、紅葉もきれいです。
さらにその横に、低く仕立てたサツキ、そしてミツバツツジを植えました。早春に咲く花は、まだ葉が出る前に開花し、寂しくなりがちな時期に庭に彩りを添えることでしょう。

 メインのヤマボウシ。中から見ると大した木には見えませんが、外から見るとこの通りいっぱいに横に広がりダイナミック。竹の支柱などを用い、枝が欲しいところ、薄くしたいところを自分でコントロールします。
 これは大切なテクニックになります。

 狭い場所に植える場合どういう木を選択するのか?自分は、2mを越えるような高さの木は、その7割は落葉樹を選択するようにしています。どうしても頭上を塞がれると閉塞間が増すので、冬は明るく日が入るように落葉樹を多めに用います。
また、使用する木はできるだけ自然樹形で、枝が邪魔だと思ったら簡単に切れるものが扱いやすいです。枝が横向きより、斜め上方に向かう樹木だとさらにベストです。
常緑樹の場合は、逆にボサボサにならないものか、なっても刈り込めるものがお勧め。キンモクセイやマキなども使いますが、今回は広葉樹との対比と、入り口の松からの流れで針葉樹を用いました。
こういうヒバも、最初から作る形が大体決まっているので、今の幅より大きくならないように剪定していれば形もでき、スペースも取らないのでお奨めです。
 落葉樹が多い分、低木やグランドカバーに常緑樹を用い、落葉期にも緑が残っている状態にするといいです。
高木と、低木の高低差を植え込みでつけると、庭全体に立体感と奥行きが感じられるようになります。
 

 下記写真左からヤマボウシ、黄金イトヒバ、ジューンベリー’ラマルキー’、チャボヒバ3本、赤花エゴ、シャラ株立ちとなっています。

 形を整えたスリムなチャボヒバを3本、整然と列植にすることで、自然樹形の落葉樹と対比を生むようにします。これには窓の目隠しも兼ねています。広葉樹とは違う針葉樹の葉の雰囲気は、庭にバラエティーと懐の広さも感じさせます。黄金イトヒバの金色の新芽もまたチャボヒバと違ったよさがあります。
 庭木を選ぶ際、自分では好みではなくても、違った雰囲気の樹木を選択することで、自分の見せたい木を引き立てる効果もあるのです。

 赤花のエゴの木は、根のスペースの関係上、ぎりぎりで押し込んでいます。ここはお風呂場の目隠しと、電柱を目立たせたくないことから、伸びが良く、形を自在に操れるエゴの木を使いました。
 角のメイン樹木として、ボサボサしたシャラの株立ちを使用。こちらも枝が斜め上方に伸びること、切り詰めるのが容易なことから、重宝しています。夏の時期に花が咲くのもうれしいです。

 さらにシャラの奥には、突き当たりに向かって、アオダモ、カクレミノ、ハナミズキ’レインボー’と続きます。
アオダモ、シャラ、エゴ、落葉樹でありながら、それぞれ幹肌が違っていてきれいですので、花、葉、幹、それぞれ四季を通じた変化を感じることのできる木を植えてみました。
 カクレミノは、勝手口の目隠しも兼ねて。ハナミズキは1本立ちの樹木で大きく形良くしていくつもりで、一番のとりを飾りました。葉に模様が入っているのが今までの使用した落葉樹と雰囲気と違っていて好みです。
足元には、土の部分全体にタマリュウが張ってあります。

 落葉樹の足元には、ヒマラヤユキノシタや、ジンチョウゲなど、常緑で花の咲くもの。常緑樹のそばには逆に落葉のドウダンツツジを低木として植えました。

 今回は、石屋さんが入っていたので、園路の石はそちらで施工しましたが、もし自分でやらせてもらえたら、この部分は丸い飛び石にしたでしょう。ここは犬を連れた奥様が基本的に歩くだけなので、仰々しい園路はいらない場所です。
 飛び石を変化をつけてジグザグに配置、できるスペースに合わせて樹木を変化をつけて植え込み、下草でアレンジすれば、茶庭風の露地もできます。もっと大きい木も、横に張り出す木も今以上に植えられました。

最後に

 ガレージ脇に植栽スペースが作られているのを発見。幅30cmしかないくぼみでしたが、スリムなシマトネリコの株立ちを植え込みます。
 これで外からの見え方がぐんとよくなりました。暖かい外壁の色に、緑がとても合っています。

外側から見たハナミズキ’レインボー’(上写真)

左からシャラ、アオダモ、カクレミノ(左写真)

 最初からそうしようと思ったわけではありませんが、今回は全体を通じて目線の移動をテーマにしてみました。
普通家の門をくぐったら、玄関の扉の高さに目線を定めます。しかし、ここにはさらに低い、正に見下ろす位置に植栽があるのです。その見下げた目線で何を感じるのか?さらにその奥には、ちょっと目線をあげた位置にブルーベリーがあります。植栽した7月には、ちょうど熟した実が生っています。さらに奥に目をやると、今度は見上げる高さにヤマボウシがそびえる…。
自然と下を向いたり、上を向かされたり、玄関にたどり着く前に、こちらの横道に入りたくなる気分にさせられることでしょう。そんな五感に訴える庭にしてみました。いつ訪れても、四季を通じ、変化のある庭にもしてあります。
いきなり現れる松から、チャボヒバ(別の場所には大きなエレガンテシマも)まで、それぞれ趣の違う針葉樹を見ることもこの庭の楽しみの一つです。