お庭の作り替えを頼まれる方は多いです。
元々買った家に付いてきた庭や、気に入っているわけではない庭の場合、お客様としてはそっくり全て作り替えてほしいという要望をいただきます。
確かに全てを捨てて一から作り直す方が、こちらも自由にデザインできますし、仕事も大きな規模で受注できるのでうれしいお話です。
しかし、これが庭のことを知っている方のお話ならいいのですが、庭のことは分からない、今までの庭の材料ではいい庭ができないと思われている方でしたら、実は全てを捨てる必要はありませんよ、まかせてもらえたら再利用しながらいい庭を作れますよ、と言ってあげたいのです。

お庭まるごとリフォーム 
-Before〜After-
植栽・施工

 お客様から、お母様宅の庭の作り直しのご依頼をいただきました。
お父様がご存命の間は、ご自分で庭木の剪定をしていたそうですが、何分素人仕事の上に、亡くなられて数年そのままになっていたせいで荒れてしまっています。
お母様もやりきれないし、何とかすっきりした手入れの楽な庭にできないか?具体的には…
○庭を広くしたい。
○そのために庭木は極力少なくてよい。(1本自然樹形の木がほしい)
○しかし、草が生えづらい工夫が欲しい。
○前の家から視線を遮りたい。
○生垣を作り直したい。
○とにかく気に入らないので、任せるので全て一新してくれて構わない。

という申し出から図面を起こし、作り替えのプランを作成しました。
実際の現場写真を見ながらお話しましょう。

植栽に使用した木は、8割家にあったものです(タマリュウは除きます)。
ですので植木代は3万円くらいで済んでいます。
コンクリの平板が利用できたことで、物置前だけではなく、水道前の水場も作ってあります。
このおかげで2割の材料を減らすことができました。
しかも、見た目は追加したものと自然につながっています。
周りを囲んだ石も、同じ種類に限定せずに石を用いれば、色んな種類の石を混ぜることができ、最初からあった材料も使用することができるのです。

全ては情報と知識次第。
施工するほうも、依頼するほうも一緒に頭をひねりながら、納得できるお庭に仕上がることが一番いいことです。

主庭

相嶋造園

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 玄関前から主庭につながる園路沿いの生垣。ボサボサになってしまい、手が付けられないので植え替えて欲しいとの要望。

* レッドロビンが主に生垣ができています。
 植えてからもう10年は経っていて、見た目以上に立派な株に成長しています。
 これだけの木でしたら、抜いて植え替えるのはもったいない話。しかも作り直しの効く樹木です。
 もう一度作り直すことで、このまま再利用することにします。

 ウッドデッキがあるテラスから主庭を横切るように物置につながる園路。元は芝生だったのですが、いつしか草に負けてなくなってしまったそうです。その後砂利を敷いて草を防止したそうです。

エントランス

アプローチ

* 新たに飛び石の材料と石を持ち込むことにしましたが、折角ダンプで運んだ砂利と、コンクリートの平板がある
 ので、これを物置の前に並べ、物を取りやすいようにし、材料も節約するようにします。
 この時点では飛び石の予定でしたが、お母様が足を悪くしたことから、つまづきにくくなるようになるべく石同士を
 くっつけ、隙間には砂利をいっぱいまで入れることとになりました。

 大きな木は途中から切ってあるため、それほど困った高さにはなっておりませんでした。どうやらシルバーセンターで切ったようです。さすが雑な仕上がりで!草物もお好きなようで、下草や鉢がいっぱい。その中に石が埋まっています。ただし、石だと思っていたものがコンクリートの大きなガラだったりもしています。
 お客様的には、どれも碌な形に出来ていないので、こんな使えないものは切って、いいものを入れて欲しいとのこと。

* 実は見た目以上に使える木が多いです。後は掘った根の状態次第でもありますが、キンモクセイ、サカキ、
 サツキ・ツツジ類、そして仕立て直せばすばらしいシダレモミジ、これを移植することにしました。
 下草も、スイセンやスズラン、クリスマスローズなどどれもきれいな花の咲くものばかり。
 これを捨てるなんてもったいないことはできません。庭のアクセントに使いなおします。
  今回は、植木を植えるスペースと草を生えずらくする緑化スペースを分けるデザインにしました。
 そこで、こちらにたくさん転がっている石に、シャレた色合いの石をさらに追加して、石で仕切りを作ることにします。

 また、お父様が植えられたという家際のモッコクも、思い出のためにここで形を作り直して残すこととしました。
  裏手のコンクリの塀が低いので、目隠しをしたいとのご要望でしたので、塀の上に竹垣を作り、省スペースでの
 目隠しをします。

以上、施工日数予定3人で1週間(実際には20人工)、見積もり80万円(実請求80万円)で作業をします。
作業風景と、完成写真をご覧ください。

 砂利を桶に掬い取り、一度邪魔にならないところに山にします。相当広範囲にまかれたようですので、手前の飛び石を敷く下を中心に取り、後はそのまま土の下に入れてしまいます。

 ユンボ登場。先ずは入り口側から植木を順に掘っていきます。使える木と使えない木を分けます。

 段取り良く木をどかしながら、同時に使える石とコンクリを分けます。掘っていくと、地中から瓦やガラが次々出てきてスコップでは掘れません。さらに笹やドクダミ、つる草の根もあるので出来るだけ全て取り除きます。

 草の根を取るのは大変な作業なので行わない人もいますが、ここはちゃんと取っておくほうが後々の雑草の伸びがまったく違ってきます。この作業のために丸一日使ってしまいました。

 耕した右側とそのままの左側の土色の違いがわかりますよね?耕すといい土が現れてきて黒っぽくなります。
 転地返しして、草の根を掘り出します。さらに大きなガラはどかします。今回はガラは別に処理しますが、施工現場によってはお客様と相談して埋めてしまうこともあります。

 ここで作業は一端生垣に戻ります。邪魔な木がなくなったので、先にこちらを仕上げてしまいます。
 竹で横に3段支えを渡し、枝を引っ張ります。これにより70cm飛び出していた生垣の枝を40cmにまで狭く出来ます。さらに竹を渡すことで、傾いていた木も真っ直ぐにすることができます。それでも空いてる部分に追加でレッドロビンを植えます。

「新しく作ったようだ!」お客様も感動です。

 最初からあったコンクリ平板と、砂利、石を使って物置前を使いやすいように仕上げます。
実はコンクリの平板、ただの平板ではなく表面洗い出し仕上げ。裏表無視して敷いてありましたが、ホントはちゃんと表面あったんです。後で砂を掃きこんで、平板が動かないようにします。

 3人での作業ですので仕事は分担で行います。石を並べている間に竹垣の作製に入ります。塀の基礎を避けるように杭を打ち(高さがあるので途中に支柱を追加します)、目線を遮る高さに建仁寺垣を作ります。

 青い色に、白の波模様の線の入った三波石(さんばせき)を用い、元々あった石と合わせます。
植栽をしながら、ゆるやかな曲線を描くように石を並べます。

 今回は自然石を多用して、仕切りを作りました。大きい石でインパクトを出し、小さい石で横や建物沿いを仕切ります。
植栽スペースは土を石の高さまで盛り、高低差を出して庭に立体感を持たせます。

 お父様が植えられたモッコクも小さくして、下に石を並べ、同じように土を足します。この下にも斑入りのふっき草を植えてグランドカバーを作ります。
 再利用して敷いた砂利の上は、鉢物置き場として利用です。これなら草に埋もれづらくなります。

 自然樹形の木にはトネリコを選択。山取りの自然な形と、きれいな幹肌がこちらに合うと思いました。下にはサツキを円形に配置。葉がないときの緑を作りました。

 トネリコは、あえて植栽スペースの外に植えます。ここは土盛りしないところですが、わざと飛び石と同じ低さに植えることで全体の調和と変化をもたらします。

下草もあわせながら植えます。

 今回使用する飛び石は、諏訪で産出される石です。表面にデコボコが少なく、踏みしめ感が安定していることが特徴。これを前の年の秋(施工は翌年の春)に抑えておきました。なぜなら砕石場が雪に閉ざされてしまうため、約半年近くは閉山。結局追加にもなったので、材料屋さんで仕入れてもらった手ごろな大きさの石は、全てこちらで使わせていただきました。

 これを足がつまずかないで楽に渡れる間隔に敷いていきます。
形がバラバラなので、パズルを組み合わせるように一枚ずつ選び、2人がかりで運び、平らに敷いていきます。今回は後々ばらすことも可能なように、下は砂だけで突きました。

 周りの整地して低くなったところに土を土盛りし、仕上がりの高さを飛び石に合うよう調整します。

 草を生やしたくない緑化スペースにタマリュウを植え込みます。ポットから出して、ほぐして植えればかなりの面積を植えることが可能です。数年たつと盛り上がるので、低めに植えるのがコツ。

 最後の仕上げに、飛び石の周りの防草シートを敷いた上に砂利をまきます。
 使う砂利は白河石。材料としては高級なのですが、袋で梱包されたものではなく、1トン単位の取引で買うことで、市価の6〜7割で手に入れられます。今回は半端分も含めて購入したので、これだけで1.5トンはあります。

 防草シートを敷いて、特に石と石との隙間は空間がなくなるように、よく突きこみます。
細かい石を使うほうが、施工は楽ですし見た目はきれいですが、あまり細かいと管理するのが大変になります。自分はいつも5分の大きさを基準に使用します。

 敷いているときはただの汚い砕石砂利のようですが、これを洗うとこの通り。この劇的変化には、お母様も思わず「きれい!」の声を。

完成です!

 不恰好に四方にまばらな枝を伸ばしていたレッドロビンも、支柱を建て直して枝を引っ張ってあげればこの通り完成された生垣のようです。

 新芽の出てきたシダレモミジ。まさに庭のメインになるにふさわしい木です。

 細長い敷地の約60uの庭面積ですが、想像以上に広いスペースに見えます。石組みの中の土の部分は、お母様がお好きな花を買われたらそれを植えられるようにしてあります。将来は植栽スペースが花一面で覆われるとよいですね。
 自然な材料を用いて作庭する場合、きっちり作りこむより、不自然な曲線を描くことを頭に置いて仕上げると、安らぎを感じる庭になりますよ。