玄関前の竹垣を作りかえる
〜丸竹の建仁寺垣〜
植栽・施工

もう10年以上前に、こちらのお宅を紹介してくださった親方が作った竹垣が、
すでにボロボロになってしまったので、我が家風に一部アレンジして作り直しました。
実際の作業風景をご覧ください。

 竹垣を作り変える際、家の奥様は本物の竹で作りかえるか、偽竹で作るか悩まれました。
風合いは本物のに勝るものはありませんが、どちらが長持ちするかといえば、偽竹に勝るものはありません。
以前は、偽竹の材料代は竹の倍近くしましたが、最近は手ごろになっています。
 奥様も、「主人が帰ったら相談して連絡するわ。」とおっしゃっておられましたが、その後電話が入り、
「主人に相談したら、当然本物で作らなければよさは出ない!と言われたので、本物の竹でお願いしますね。」とのこと。
ツルの一声により、本物の竹で施工することに決定。植木屋からしても、やっぱり自然の材料を使うほうが好きなのも正直なところです。

 見事というほかにない壊れ方。
こちらも毎年お世話になりながら、できれば作り替えたいなと思っておりましたので、願ってもない申し出でした。
 普通は割り竹を使用して、縦に竹を立てていくのですが、こちらは輪切りにした竹を用いて作られています。
その方が竹は丈夫ですし、風化にも強いので長持ちするでしょう。
前回は針金で留められていただけですが、今回はカッコよく黒いシュロ縄を用いて飾り結びまで施していきます。

 先ずは、当然ながら全て壊すことからはじめます。
防腐剤注入タイプの支柱なら20年は持つので、もう一回の作り替えに使用できますが、こちらで使用されていた支柱はクレオソート塗布タイプでしたので、リサイクルはできませんでした。
 竹垣だけではなく、横に植えてある南天を細く手入れし、下に生えている笹もきれいにします。
この機に回り中の大掃除です。

 元々支柱のあった位置に、再度穴を掘りなおし支柱を立てます。
ここは土が少ないので、家の裏手から小石を大量に運び、鉄の棒で支柱の周りに突き入れます。
この支柱がぐらつかないことが、垣根の寿命に直結しますので、埋め込む長さや付きこみはしっかりしましょう。
(奥では母が松の木の手入れをしています。)

 支柱が立ったら、支柱同士をつなぐ横渡しの竹’押縁(おしぶち)’を作ります。
我が家では、搬入中に割れてしまったりするのを防ぐため、竹林で切り出した竹を現場で二つに割って使用します。
鉈と小槌を用い、竹のねじれや裂けに注意しながら二つに裂きます。すると写真のようにきれいに二枚に分かれます。

 割った竹を支柱につないでいきます。
真ん中に縦の竹が来るように、押縁は中心より外めになるようにつないでいきます。
 ここにも竹垣つくりの作法というものがあります。例えば渡す竹は前後を入れ替えた竹を交互に使うことや、押縁同士の間隔も、均等にしないこと。大概は上記のように、上部を広めに、下に行くほど狭くなります。
我が家では、強度を増すようにドリルを使ってネジ釘で竹を留めます。

 縦に立てていく竹を’立子(たてこ)’と呼びます。
今回は丸竹を使用しますので、最初から長さを合わせて竹を切っています。
一本一本現場で雑巾で拭いて、汚れを落とします。
昔は磨き出しに、トクサという植物を用いました。

 立子を立て、反対側を押縁で再びおさえていきます。この竹垣の最大の特徴は、’どちらも表’というところです。
ですので、丸竹を用いているのでしょう。仕上げも裏表同じになるように作っていきます。

 上部にも竹で押縁をあて、傘となる’玉縁(たまぶち)’で塞げば、形は整いました。
 部分的に隙間が空いていたり、曲がっている竹が混じっていることもあります。しかし、そこが本物を使っている証です。それが自然なのです。

ここで道具紹介です。
 竹を切るのこぎりは、通常のものと違います。竹は繊維質で硬いため、通常ののこぎりだとうまく切れません。
そこで、竹用の目が極細で厚みも薄いものを使用します。
左の写真を見れば、どちらが竹用かは説明でわかりますよね。






 右の写真の道具は、’くり針’といいます。
竹の間にシュロ縄を通していくために用いら
れます。 
手前の押縁と、裏側の押縁をまたいでシュロ
縄で留めていきます。

 くり針を用いてシュロ縄を通し、裏表同時に結束していきます。
同時に仕上げないと縄が締まりません。
自分も写真を撮る暇なく作業に集中です。
 この二人で締めていく作業も披露したい面白いところなのですが。

 同時に、我が家では要所要所に針金で補強を施します。
竹垣が壊れる最初の原因は、シュロ縄が劣化して解けて、押縁が外れてしまい、全体が倒壊していくことがほとんどです。
針金なら竹より丈夫。最後まで繋ぎ止めていてくれるのですが、やはり見栄えがいまいち。そのため、普通の業者は面倒臭がって行いませんが、我が家は両方同じ量だけかけていきます。
作業時間もそれほどかかりませんし。

 頭部に針金を留め、シュロ縄で玉縁の飾り結びを施します。
この竹垣は、正式な形ではないのと、高さも低いので、複雑な飾り結びにせず、簡単なものにしました。

丸竹を用いた建仁寺垣完成です!

 今回は作り替えでしたので勝手もわかっているし、寸法も小さいため作業時間としてはそれほどかかっておりません。
シュロ縄の結束に入るまでのほとんどの作業を、父が一人で3時間くらいで作りました。
その間、自分は主庭の手入れをしていて、ごみ片しの合間などに撮影していきました。

 仕上がりを見ても、本物の竹で作っただけに、この青さがいいですね。
これが、だんだん色あせてくのを見るのも、昔の人は’風情がある’と解釈しました。
そんなスローライフな考えは、なかなか自分も身に付きませんが、自然素材でできたものはやっぱり落ち着くことは間違いなのではないでしょうか。

相嶋造園

親サイトも情報満載!