毎年冬にテレビを賑わすニュースとして、金沢・兼六園の松の雪つりが登場します。
クレーンで太い丸太を吊る場面や、天辺から縄を放り投げる場面は、誰もが知る名シーンですね。
実際パフォーマンス半分なんで、全てああやっているわけではないですけど。
それなら実際どう作っているのか、簡単ではありますが、製作風景を掲載してみましょう。

ただし、お断りとして、これは解体現場を撮影したものです。
作るときはなかなか撮る余裕ありませんから。
ですので、解体現場を逆に組み立てているような順序で掲載していきます。

松の雪つり(逆流編集)
植栽・施工

 関東地方、しかもあまり雪が降らない首都圏で、松に雪つりをしようなんてすることはほとんどありません。
はっきり言って、自分のお客様にはいらっしゃいません。
 この撮影現場は、いつも仕事の手伝いを頼まれる、東京を中心に仕事なさっている親方のお得意様のお宅です。
こちらの親方は、料亭も含めて数件、毎年雪つりをされています。
しかし、最初に記したように、首都圏で松の枝に雪が積もって折れるなんてことはなかなかありません。
雪つりも、実用性よりも装飾性を重視した作りをしています。
 もちろん、強風や大雨などの災害には襲われます。それらに負けない作りにしないといけませんから、ただかっこだけではなく、重厚性も持ち合わせた雪つりを作らなければなりません。
その辺りを抑えながら、作製過程を追ってください。
 ただし、先に書いたようにこれは解体中の写真、しかも携帯なので見づらいかと思います。
ご了承くださいませ。

近年は暖冬傾向にあるため、ソテツのワラ囲いも含めて、首都圏ではあまり見なくなりました。
さらに言えば、こういう技も’伝統’です。
自然の材料を活かして、その時の風物詩を物語ることを見なおしていければいいのですが。

相嶋造園

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 準備ができたところで、縄を松の周りに振り分ける作業を行います。
 縄が絡んでしまうと、見た目が美しくありません。慎重に割り振りをします。

 もろに逆光の中の撮影になりましたが、こちらが今回雪つりをする松。表の通りからは4m近く上ったところにあります。

 高さは4mちょいしかありませんが、これだけ高いところにあると、そんな小さく見えません。逆に言うと、これ以上大きい松を植えると、見る地点からうまく見えません。ですのでわざわざ小さいながらも整った松を探してきたのです。
 この松に、倍の長さに近い7,5mの竹の支柱を中心に立てます。
作り方に正式なものはないと思います。ですから支柱の長さも人それぞれというのが実情。機能、見た目から言ってもこの倍くらいの長さが妥当ですね。
 もちろん、こちらの松が低いからということもあります。
それと、クレーンで上から支柱を突っ込めるような場所はほとんどありません。
こちらの松だって、傾斜地にできている庭の中腹にあるのですから、機械は使えません。庭によっては、下から支柱を突っ込むためのとり回すスペースもままならないこともあります。
 そういう事情を一つ一つ当てはめていきながら、そのお庭でできる雪つりを作っていきます。

 支柱に続いて雪つりの最大の見世物となる、周囲に張り巡らせる縄を用意します。
単純に言って、この縄が太く、本数もある方がカッコのいい仕上がりになります。
 ここでの雪つりは、六角形を描くように完成させます。その一辺に8本の縄が使われますので、計48本が垂れ下がることになります。
中心で折り返して使うので24本を支柱の長さくらいに切り、六角形なので3個に分けた縄の固まりを作ってあります。
 これも作り方で変わるので、家の松に合わせた振り分けを考えます。

 支柱の先端に、縄同士が重ならないように、針金とシュロ縄で丁寧に縛りつけます。

 しっかりと固定出来たら、その上に藁で編んだ傘をかぶせて、支柱の準備は完了です。
この支柱の先端部分は、色々な仕上がりがあります。縄で飾り縛りをする場合もありますし、親方や地方によって様々です。見比べてみてください。

 ロープで引き上げながら、松の頭の中央に、一番の見つけからまっすぐ見えるように気を配って固定します。
 どうしても天然の素材を使う以上、ねじれやゆがみなどが出ます。それを一番目立たないように調整するのも大切なことです。
 下から見上げると、首が疲れる高さになりました。

 支柱を固定すると同時に、縄を吊るための骨組みも作らなければなりません。傘で言うなら、開いた傘を支える放射状に伸びる針金ですね。今回は六角形ですから、一番長い枝をうまく隠す長さで、全体も均等に竹で骨組みをします。

 その骨組みをつなぐように、外周に黒いシュロ縄を固定していきます。このシュロ縄に縄を結びつけていくのです。

 その縄を、骨組みの外周を結ぶように張った黒いシュロ縄に結び付けていきます。
このとき、四方からポイントになる縄を見つけて、支柱の曲がりがないように十分に引っ張り合いをするように結んでいきます。後になって縄は少し伸びて緩んできます。
そのときたるんでいるように見えないようにしないといけません。

 完成です!解体時に撮った写真の逆順で説明しましたが、わかりづらい写真で申し訳ないです。
作ってから3カ月ですが、縄にはちゃんと張りが残っていました。このまま来年まで持つでしょうが、また壊して作ります。