一面緑で彩られる芝庭はとてもきれいで、とても気持ちのよいものです。
子供を遊ばせてもよいですし、ほこりが舞うことを抑えることもできます。
しかし、芝庭をきれいにしておくのは大変な作業です。
特に除草作業は、自分の体との戦い。
「そろそろやりきれないないから、別のものにしたいのだけれど、どうしたよいかしら?」
そんな相談が結構ありますが、今回はその中でもちょっと贅沢に作り替えた、芝庭からの模様替えをご披露いたします。

芝庭の模様替え 〜御影石を張る〜
植栽・施工

 最初にご相談を受けたのは、前年秋でした。
「もう芝生の草取りをやりきれないし、20年近く経って芝も禿げてきちゃったから、どうせだから別のものにしたいのだけれど、お兄さん考えてよ。」
と、常連のお客様からのお願いです。
 予算は40万円で(実際には面積も増えたのと、施工が手間取ったことで2割増しになりました)。
施工リミットは、翌年春になって草や芝が伸びだして、うっとうしくなるまで。
 大変かと思われていた模様替えのデザインですが、何と最初のお話から2週間というスピード決定。
果たしてそれでちゃんと完成したのでしょうか?読んでからのお楽しみです。

奥様;「私のイメージどおりよ!でもこんな良くなるとは思っていなかったわ!」
ご主人「自分の家じゃなくて、旅館に泊まりに来たみたいな庭になったな。」
こういう言葉をかけてもらえるとき、「この仕事やっててよかったな。」
としみじみ実感します。

こちらのお客様からは、この延長で玄関前や裏手のスペースも今後頼まれることになりました。
今度はどんなデザインにしようかな?
またHPでご紹介できるものにしたいですね。
乞うご期待ください!

 まだらになった芝庭。先ずは寸法を測ります。何がどのくらいにあるか、出来るだけ細かく計測しましょう。

 今回施工する面積は、約30uあることがわかりました。
 20年という年月芝を張り替えずにこられたのは、家人の大変な努力が伺えます。これは尊敬に値します!
しかし、長年の踏圧で地面は家側に傾斜ができていたり、自分でブロックを並べた畑も、ブロックが開いてしまった上に、数が足りずに奥は石や木でつないであります。
 こういうところも含めてトータルリフォームいたしましょう。

 休日や、仕事の終わった後を利用して大型ホームセンターで情報集め。
デジカメで撮影してきて、イメージと予算をはじき出します。はっきり言って最近のホームセンターは素材の種類、値段ともに非常に選択肢が多くなりました。
ただし、我々が仕入れて来る同じものより薄かったり、粗悪な品も混じっています。選ぶ材料によって、それらを活かせるしっかりした下地を作れるかが重要ポイントです。

今回のポイントを一度整理します。
 ○草取りが楽な庭にする。
 ○台車を押したり、歩いて通ることのできる園路を確保する。
 ○明るい色にしたいが、派手なものや白色は好きではない。
 ○多少予算を超えても、しっかりした作りと、安っぽくない材料で仕上げてほしい。
 

そこで考えたのが、
 ○角石を隙間なく張ることで、何をするにしても使いやすい園路を作製する。
 ○庭の空いているスペースは玉竜を植えることで、芝の代わりの緑を確保し、草が生えづらい植栽にする。
 ○庭木の植栽前と、石の豪華なテーブルセットの下には砂利を入れて、アクセントと使いやすさを演出する。
と言うイメージです。

 自分はデジカメで撮影したデーターを、お客様のお宅のテレビに映し出してプレゼンします。
今回も上記のような材料の写真や、施工例を持って打ち合わせにお伺いしました。
このとき見せた中でお客様が一番食いついたのは、予想通り’御影石’でした。

 これは、いつも行く材料屋さんで素材について相談したら、
「ちょうど御影石の平板が入ったから、後で市場に引き取りに行くとこだよ。」
と、思わぬ回答。どうやら、市場から半端なものを安く落札したようです。何と言うグットタイミング!すぐさまその場で全量120枚を仮押さえ。これだから仕入れ周りは面白いです。市場と直結しているこちらの材料屋さん、大好き!です。
 最近は材料の高騰で、平板だけではなく全てのものが安く手に入らなくなりましたから、貴重です。
 材料屋さんで、同じ石のサンプル一枚借りて(これも使用したので全121枚でした)、それを持って打ち合わせに臨んだのです。
御影が使えるなんて、お客様ご夫婦も大喜び。サンプルを見て、材料即決定です。

 御影石の平板。やっぱり自然石の切り出しはいいです。
年数が経っても劣化がほとんどありません。
最後まで、「こんないいものが使えるなんて思っていなかった。」
を、お客様も連発させていました。

 大変見づらくて申し訳ありませんが、計測を元に方眼紙におこした図面です。
施工中、風に飛ばされ雨に濡れ、しわしわになっていました。
ここに掲載するなら、きれいでかすれる前に撮っておけばよかった。
 材料をきっちり積算するためには、できるだけ正確な図面を作る必要があります。
 
 これを元に、年を越えた春、作業をはじめました。
セメントを使う以上、凍ってしまう時期は避けました。
こちらの時間的にも、早く取りかかることができませんでしたが。

いよいよ施工開始!です。

 先ずは芝はがし&草取りから。
スコップを寝かせて、根の下に入るようにえぐっていきます。
そのままひっくり返して乾かすと、土も振るいやすくなります。

 こちらのお庭には、車が入れません。
作業は通常より手間取ります。

 隣接する駐車スペースに入れるのは軽トラック一台のみ。
桶に入れて、芝のゴミを運び出します。

 この間に、明日からの御影石張りの準備に、材料の引き取り等に動いてもらっています。
作業は段取りをよく考えないと、お客様の請求に跳ね返っていきますから、こちらも気を使います。

 整地作業です。石のテーブル周りから、家の縁側にかけて一番低いので、そちらに土を引っ張ります。
ついでに石のイスの傾きも直して水平を取っておきます。

 整地作業中、配管が出てきました。
玄関前にはよくあることです。
勢いで仕事をしてしまうと、こういうものを傷つけてしまいます。
経験上、静かに作業をしていて正解でした。

 低い縁側に土を寄せると、内側はさらに低くなり、水が入り込んでしまいます。
それを防止するために、土抱えをしておきます。

 これは、ブロック塀の表面化粧用の薄い板です。
我ながら、安くていいもの見つけてきたと自己満足の一品。
縁側の下に隙間なく並べます。

 整地が終わったら、図面を元に、御影石を敷くところを中心にやや広めに掘り下げます。石の厚みの倍くらいの深さに掘っておきます。
 それは、石を安定させるため、下地に石の厚みと同じくらいの砂を入れるためです。ここは重いものが通るわけはないので、下地も砂だけで十分と判断しました。
結構表面を掘り下げたので、家の奥に土山ができました。

 手製の突き機で、ドンドンと土突きます。
いくら砂で石が安定しても、元の地面がめり込んでは意味がありません。
 突けば突くほど、地面も固まります。

 お客様手作りのアップルパイをお茶に。
その心遣いが大変うれしいです。
 出来上がった後の、石のテーブルでのティータイムを、今まで以上のものにするために良いものを作ろうと気合を入れ直します。

 ジャーン!御影石搬入です。1コンテナ30枚、1t強あります。
計4コンテナ。海を渡る前梱包されてから、日本での初めて開封です。

 砂も普通の砂ではありません。
左官屋さんが使う、石を取り除いた細かい振るい砂。
この細かい砂でないと、目地埋めはできません。
通常の砂の価格の3倍〜5倍します。
常連の建材屋さんで作っているので、通常より安く分けてもらっています。

 砂を敷いて、仮に石を置いてみました。
石の左に一直線に立てた板が、天端の高さのガイドになります。
 今回は、入り口側に排水勾配を取りました。最終的には、地面より若干高めに石の天端がくるように仕上げておきます

 量が多いので、ミキサーを用います。
これで、石を安定させるための’バサ’を作ります。
 
 砂:セメントが3:1〜4:1の割合でこね、水を加え硬めにこね上げます。
持って握れる硬さに仕上げます。
一番大事なのは、砂とセメントがよく混ざり合っていることです。

 バサを、石の下に多めにいれ、カケヤなどで叩き下げながら、石を決めた高さ、勾配になるように敷きます。

 同様に目地にもバサをつめていきます。
特に、石の角にはがたつきが出ないように、しっかり押し込みましょう。

 目地の広さは、指一本が入るか入らないかがいいと思います。
狭い目地は仕上げが難しいので、プロほど狭い目地で仕上げて、その技術をアピールします。
我が家は専門家ではありませんし、御影石がお安い海外製のこともあって、形が思っているほど均等ではありません。
そのため普通に並べても、目地に狭いところと広いところができてしまいます。
時間があれば出っ張りを削って形を整えながら敷くのですが、手間は倍になります。
これが自然素材を使う難しいところでもあります。

 しかし御影石の良いところは、石自体に重さがあるので、下地をそれほど丈夫に作る必要がないことです。ですので砂だけでこの場合問題ありません。
薄い素材の場合は、砂の下に砕石を敷くこと、良く転圧して地面が歪まないようにしておくことが必要になります。

ここで道具紹介です。

石切り刃に替えたグラインダー

各種コテと真鍮ブラシ、スポンジ

目地用平コテ(7mm,9mm,12mm)

 目地も、下端の隙間も力を入れてバサを押し込みましょう。

 今回はデザイン上、石をジグザグに配置します。
そのため、石がずれないようによくバサを突き入れ、周りをコテでなぞって、石の厚みの半分くらいまで周りを固めます。

全部敷き終わったら、目地を仕上げます。

 下地をよく掃除し、ゴミや砂、はがれている部分があれば、それもはがしていしまいます。
 
 ジョウロの先を取ったものなどを用い、目地を十分湿らせ、仕上げ塗りとなじむようにしておきます。

 船に、砂とセメントを等量ずつくらい取り、空練りでよく混ぜ合わせた後、少しづつ水を加えて硬めに練ります。

 最近は目地用のモルタルもホームセンターに売っていますし、白色に仕上がるセメントもあります。
今回は一括して砂、セメントを用意したので特別な処理はしていませんが、はがれづらくするために、接着剤を混ぜることもあります。
 自分が教わった左官あがりの土建屋の社長は、緩く溶いたセメントを、目地に流し込んで仕上げるという技も使います。

 柳刃のコテにモルタルを取り、平コテで削るように目地の間に詰め込みます。今度はセメントの割合が強いので、はみ出すと石にこびりついて落ちなくなることもあります。少しづつ取って、コテでよく押し込みます。
3種類のコテを駆使し、目地幅に合わせた広さのコテで、表面を平らにならします。
 目地の仕上げ方にも、色々な仕様がありますが、ここでは普通に平らにならしました。
たまにこてに水をつけて表面をこすって、できるだけ凹凸が残らないようにします。
 もしはみ出して、セメントが滲んできていたら、濡らしたスポンジで強くこするようにふき取ります。

 目地の仕上げと同時進行で、土を埋め戻し、玉竜の植栽を行っています。
 玉竜は今はまばらですが、数年後は少し盛り上がって全体を覆います。その盛り上がったときに御影石を塞いでしまわないように、石の天端より低めに整地を仕上げておくほうがよいです。

 この目地埋めと、玉竜植え、どちらも屈みっぱなしの作業で、耐えてきた体への負担がピークに達します。
二日も続けていると、首、肩、腰、ひざ、どれもが悲鳴を上げてきて、ふらふらになります。
ですが、ここが我慢のしどころ。
完成した形を少しでもよくするため、そしてお客様が喜んでおられるお顔を想像しながらひたすらがんばるのです!

 庭木の後ろ側も、砂利を敷くところ以外はほとんどに玉竜を植えていきます。

 花壇風の畑にも、同じ型のブロックの直線の仕様を買ってきて、今までより一回り大きく、楕円を描くようにぴったり御影石の隙間に並べ直します。
 また、花壇の裏手も余っていた材料や、あった素材を用いて収まりよく作り替えました。
「こういうところが本職なのよね。あるもので作ってもらえたけど、とても気に入ったわ。」
まさか、この部分まできれいにしてもらえると思っていなかったらしく、お客様も感激されていました。

ここでデザイン変更です!

 当初のデザインでは、御影石に平行に玉竜、砂利を並べようとしたのですが、庭木に沿った波状に変えたくなりました。
その方が石の硬さに対し、曲線が混ざる柔らかさも出るかと判断。
 急遽、砂利飛散防止、砂利内への土の流れ込み防止に、砂利を敷く反対側にも波状に玉竜を植え、砂利をサンドウィッチする仕様に切り替えです。
 また、奥にもう一箇所砂利の水溜りを設けることにしました。ここにはプランター置きにしてもよいかと考えました。

 あまった砂を下に敷いて地面をもう一度ならし、防草シートを張ります。
その上に砂利を適当に敷き並べ、防草シートの抑えとします。
 この時点では、調子を見る最終段階として、きれいに砂利を入れる必要はないかと思っています。

 今度は、山に置いた砂利を均等に敷き並べていきます。
写真のような角材を使うと楽です。
 平らに敷き伸ばし、上からよく叩いて石同士をかみ合わせます。防草シートが見えるとカッコ悪いので、見えなくなるように敷きこみましょう。

 この砂利は、伊勢砂利です。
和風庭園の代名詞と言われるほどポピュラーであり、高級な材料です。
黄色みのある明るい色合いが、石を使った硬さを和らげ、玉竜の緑に負けないコントラストを出します。
 ここでは5分(約15mm)の大きさを用いていますが、粒が小さいほうが見た目はきれいです。しかし、小さいとあとあとのメンテナンスが面倒になります。5分か8分を用いることをお奨めします。

 ようやく作業が終了です!
最後に水を撒いて、石から全てを洗いなおしましょう。
 この作業をしているとき、完成した実感が湧いてきます。

相嶋造園

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