平地でも紅葉がきれいな樹木、といえばその代表格の一つはモミジですね。
赤や黄色、オレンジ、色も形も様々に選べます。
今回は、「赤い紅葉するモミジがほしい。」というお客様のご要望にお応えして樹木を探し、植え込むことになりました。
今回は、搬入から植え付けまでの流れを紹介したいと思います。

モミジを植えよう
植栽・施工

 「玄関前に植えたハウチワカエデがおかしい。」
という連絡から、植え替え作業ははじまりました。見に行くとかなりテッポウ虫の被害にあっていたようです。
今すぐだめになるわけではありませんでしたが、株立ちの幹の半分近くがすでに枯れる寸前の状態でした。
 これほどひどい被害になってしまうと再生は厳しく、根が生きていれば、そこから新しい芽が出てきますので、それを大きくしていくしかありません。
 しばらく様子を見ましたが、植えた場所が庭のメインの位置で、一番目立たせたい場所です。
このままの状態でおくには、庭全体としてもまとまりません。最後はお客様の決断で、新しい樹木に植え替えを決定いたしました。

庭作りとは、こういうひとつひとつの作業の組み合わせで行われていきます。
基本を知らずには応用も効きません。
皆さんの植え込み時の参考になさってください。

今回は、とっても仕事のできる助っ人に来てもらえたので、一人だったらここまででしたが、この後お庭の手入れ作業も終わらせることができました。
来てくれる助っ人の皆さんも、どなたも植木に関してはアマチュアです。
しかし、やる気や関心はプロ以上のものがあります。
そういう方々と仕事が出来る方が、よっぽど仕事がスムーズにできますし、お客様自身も喜んでくださいます。
大した量を頼むことはできない零細企業の我が家ですが、今後とも臨時アルバイトの登録等続けていきます。興味のある方からの連絡お待ちしております。
ヨシカズくん、今日はありがとう!

相嶋造園

親サイトも情報満載!

 こちらが最初に植えたハウチワカエデの株立ちです。ウッドデッキの日蔭を作るのを目的に植えましたが、もともとちょっと問題のある樹木だったことも事実です。
 樹木を選択することの難しさを、お客様に教えた1本でもありました。

 で、こちらがあられもない姿のハウチワカエデです。
 お客様が根元から切っています。それをこちらで引き抜きました。幹に穴が開いているのがわかります。
 やはり虫の影響がありますね。

 お客様のために探し出したイロハモミジ。大きな木の裏手に隠れて置いてあったので、よく探さないとわかりませんでした。しかも価格も2万円代なんて、実物を見られた方は想像できない見事さです。その場の写真が見てもわからない内容なので、引っ張り出して倒した写真を掲載です。
 株立ちで横にボリュームがありますから、ひもで縛り、そのうえで車に載せてから防風シートを巻き、全体を締め上げます。これで風により葉が傷むのを極力控えます。

 今日は助っ人を頼んできました。
 地元の後輩ですが、元設備屋に勤めていた穴掘りのプロ。スコップ1本でどこまででも掘るまさに達人!
 しかも大変まじめで一生懸命。お客さまからも好評いただきました。

 上記右写真にある左がこれからモミジを植える穴。その穴を掘るために芝を丸くきれいにはがしたものが見えます。彼一人でほとんど作業してくれました。左の大きい穴が、枯れたハウチワカエデの植えてあった穴です。
 ここは芝のために水はけのよい山砂が整地に使われていました。細かい根が伸びやすい利点はありますが、樹木にとっては乾燥しやすく栄養の少ない土です。ですから前回の穴の埋める作業に土砂を使い、新たな培土をイロハモミジを植えるために用意しました。

 見てくださいこちらの穴。
モミジの根鉢の大きさを、メジャーで測った助っ人の後輩が、計測寸法に合わせて、植える位置にきれいな円柱型の穴を掘ってくれました。埋めるのがもったいないな。
 我々は根鉢の形から、先細り気味に掘ってしまいますし、鉢の大きさは概算で考え、二周りくらいの大きな穴を掘ります。これが職業の違いによる穴掘りの特徴なのかと感心です。

 芝生の中に植えるので、芝に負けないためと、立体感を出すために、モミジは敢えて少し高めに植え付けます。
テッポウ虫の被害を食い止めるために、最初の穴と今回掘った穴の中に土中用殺虫剤の粒状のものを散布しました。
特にその被害の大きかった前回の穴には多めに散布。
 根元は高くするだけではなく、水が貯められるように、水鉢を作ります。
水鉢をあまりわざとらしく作りすぎても美観がよくないので、さりげな〜くを意識して山のてっぺんを凹ますような感じで。

 モミジの裏手では、後輩が奥ゆかしく作業してくれています。モミジを掘るために丸く切った芝を、ハウチワカエデを抜いた穴に移植してくれているのです。何も言わないのに、自分で判断して動いてくれる気遣いがうれしいです。

 植えつけの完成です!
まあ、これでもいいのですが、やはり商売人が植える以上、単に植えただけでは帰れません。支柱を立て、この場にさらに合わせた樹形に仕上げていきます。
 こちらのイロハモミジは、根の大きさより、枝葉の広がりがあるため頭が重く、大風が吹いたら倒れてしまいます。
 支柱は飾りではありません。
実利的に風に対応できる位置を見極めて支柱を立てることと、支柱によって幹や枝を引っ張り、さらに形良い木に仕上げる手段でもあるのです。
 今回用いるのは八ツ掛け(ヤツガケ)という基本技法の応用です。
これは支柱を四方から斜めにバツを描くように交差させる方法で、大体3本の支柱で木を支えます。ここでは枝を開かせるために、5本の支柱を使用しました。

 なんと言っても一番太い幹を固定しないことには始まりません。支柱を幹にあてながら、どこが一番しっくりくるか探ります。
 基本の固定は3か所。最初に低い位置の幹、次に支柱同士、そして上部の別の幹に縛ります。

 さらに2本目を立てます。
 支柱は見栄えではありません。特に株立ちの場合は、多数の幹を固定出来る方が風に対する抵抗もしっかりします。
 それと、どの位置でもいいので、できるだけ支柱同士の結束も心がけましょう。木が大きくなるほど支柱も長くなるので、お互いの結束も大切です。

 同じようにして5本の支柱が立ちました。
元から5本にするつもりではありませんでしたが、調子を見るうちに必要になりました。

 支柱を立て、中の枝も整理してすっきりさせています。
 本当はもっと写真があったはずなのに、手違いからか保存されている枚数が半分しかなかったために、十分にお伝えしきれないのが残念です。
 来年はさらにいい形になるでしょう。紅葉も楽しみです。

                

参 考
シダレモミジの移植

折角モミジの話を書いているので、別の作業の内容もおまけで掲載します。

 樹齢40年になる畑のシダレモミジ。いまだ20本は畑にあります。
しかし、幅のとる樹木なので、畑の効率から言っても栽培には嫌われる木。なかなか我が家以外近くにはないので、色々な方が見に来ます。
 今回は個人のお客様が気に入ってくださり、配達となりました。

 畑の樹木を配達する場合、根を傷めないためと、その後にいい根を出しやすくするために、掘り上げた根を布で覆って、縄で締める’根巻き’を行います。これだけ自重のある樹木では、その重みだけで根が崩れてしまい、持って行く前に使い物にならなくなってしまいます。
 ここでは’樽巻き’と呼ばれる伝統的根巻きでモミジを掘り上げます。
これは、樹木の根を全部切って掘り上げるのではなく、根鉢が崩れないように下部は掘らずに布を根鉢に巻き付け、縄でよく締めてから下部を掘り上げる技法です。

 この、四角形を描くように縄を締めていく方法も一つの職人技です。この状態で樹木を吊りあげ、完全に掘り上げるのです。二人で手で掘り、ここまで1時間かかっております。

 改めて車に乗せてみると、大きさが実感できます。このままでは枝が荷台から大きくはみ出してしまい運べないので、ロープでかなり引っ張り寄せてあります。
 時期的に落葉期は葉が風にあおられないため気楽です。樹形によって運び方がかわりますが、シダレものは乗せるのが難しいものです。

 お客様のお宅に植え込み終わったところです。他の樹木とも感じが違うので、お互いを引き立て合います。
 独立して少し手前に植えて、存在感を出したい樹木です。

 一方、こちらは不動産屋さんの依頼で、いちはやく現場入りした紅シダレ。庭のメインになるそうです。
これから奥に家が建ちます。家が建つと運び込めないので、先に植えさせてもらいましたが、少々立派すぎてびっくりしていました。