庭を持つことは、楽しいことでもありますが、苦痛の種になることもあります。
そこには毎年の管理がなければ、どんな庭であろうと荒れてしまう現実があります。
それが土の庭ならなおのこと。木は伸び、雑草は生い茂ります。
しかし、目を背けていてもよくはなりませんし、それで嫌いになってはなおのこと寂しいです。
今回のお宅も、なんとかして笑顔の見られるお庭にしたいと頑張りました!

もう一度誇れる庭に
植栽・施工

野田市Iさま邸 
 「今までは主人が庭を全部管理していたのですが、それができなくなって庭が荒れてきて、もう嫌になったのでお任せするからなるべく木を抜いちゃってください。」
というご依頼でした。
 奥様的には、緑がゼロでは嫌だけど、庭木がなくてもいいという究極的なお気持ちのようです。
そこには、今まで頑張ってきたのに庭手入れができなくなった旦那様が心配な気持ちや、ご自身の体調など、やるせない気持ちが強く表れております。予算もりますし、とりあず出たとこ勝負でやれることをやっていきます。

ご近所のモデルガーデンになったみたいよ!こんなに変わるなんてびっくりしました。」
そんなに喜んでいただける方がうれしいですよ。
早速外から見ていたお隣の奥様を、「中に入って見て!」と庭に引き入れておりました。
こちらの奥様も、ご自分ですばらしいバラの庭を作っております。そんな奥様を招き入れるほど気に入ってくださったようで、作り手冥利につきます。
最初は見るのもいやだと思っていた庭が、人に見せたくなるほどご自慢の庭になったことが大変うれしく思います。
心配なのは、今年の草の生え方は、木が減った分例年より多いかもしれません。
誇れるお庭を作ることは、我々もプロなのでそれなりにまとめることができます。
しかし、一番大変なのはそれを維持していくこと。そしていかに維持が楽なお庭にこちらも作れるか、そしてお客様にその後の庭の変化予想をお伝えしてくことも我々の仕事だと思います。

相嶋造園

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 最初に庭を拝見しに行ったとき、確かに減らしたいと思う量の庭木が植えられていました。共存できるくらい小さくしていないとどの木も良く見えません。半分くらい抜くのかな?と思っておりましたが、なくてもいいとは!?

 よくよく話を聞いてみると、この庭自体を旦那様が一人で作ったそうです。少しづつ時間をかけてここまで作ってきたそうですが、年齢と共に、もうやれなくなってしまったそうです。しかも気が付いてみればこんなに木が込み合っているし、もう自分でもあまりやりたくないので、やっぱりプロに人に任せて、みんな処分してしまおうと考えていることがわかりました。
 先ほどの玉物以外にも、バラの棚や、黄金糸ヒバ、黄モクレン、ブルーベリー・サンシャインブルー、シダレモミジ、どれも庭のメインを張れるいい庭木もあります。しかし、それらも残さないでいいという決断。
それほどまでに、自分のお庭嫌になっちゃったのかな?こちらも寂しい気分になります。

とにかく一度抜くものを抜いて必要があれば植えたしていく、いうことで作業に入りました。

 我が家のミニショベルのバケットをハサミに替えて、厚さ80センチ近い生垣から抜いていきます。最終的に松2本、レンゲつつじ、子どもの記念樹である梅2本を残し、他は全て処分ということで。

 当初の予定では、いらない庭木を抜いて終わりにするつもりでしたが、あまりにも芝の根が絡み付いていることと、細かい石がたくさんあって、何がどうなっているのかそのままではわからない、しかも抜いたままでは格好がつかない、土地が凸凹で庭がカッコつかないなどの要因から、自分でもお節介!と思いながらも残すものも一度抜いてしまいます。

 ショベルの爪で、芝とドクダミの根をなるべく掘り上げます。やるときにやっておかないと、後が大変です。石を仮置きするだけで、家の周りが大変なことに!いかにたくさんあるかよくわかります。ただし、残念なことに形良い石が少ないです…。

 整地してよかった。全てをどかしたおかげで、平らに均した見違えるほど広大なスペースが出現しました。この時からお客様の目の輝きが変わってきました。「たったこれだけの時間で、こんなにきれいになるなんて!ここまでやってもらえると思わなかったからとってもうれしいです。これで十分です!。」まあですね、これで終わらせても確かにいいのですが、これで帰るわけにはいかないですよ。もっと良くできることがわかっていますし、これでは周りから恥ずかしい庭になっちゃいます。

 いくらお任せの仕事といいながら、お客様が納得いかないことまでするつもりはありません。しかし何度も言うように、こちらも恥ずかしい仕事はできません。これからしていく作業をお客様に説明し、オーケーの出たことをしたいと思います。
 
 最初に石組みを作り直します。今まで細かく分けていた園路を減らし、松の周囲を大きな島とします。玄関前から飛び石を並べようかと考えていたのですが、腰が悪くなって足があげられず、引っかかるのが嫌ということで置かなくてもいいとなりました。なので、飛び石分の取り置きなしに、石組みに使うことにしました。
 ガレージと庭の境界に、生垣を作ります。胸高あればいいし、外の生垣ではないので落葉樹でいいでしょう。この生垣は茶庭の露地と同じのように、隔てることで空間の意味合いを変えるここと、見えすぎないことで内庭への期待感を増すためのものです。道路沿いの植栽はいらないというお客様でしたが、ないのとあるのとでは実は庭としての価値が変わります。
松とのバランスを取るためにも、そして外側から楽しんでもらうためにも、数本だけ植えさせてもらうことにしました。

 当然ながら、口での説明ではイメージがわかないようです。お客様もお任せすると言った手前、「もっと良くなるのならお願いします。期待しています!」と言っていただけました。自分もよくする自信がありますので!
しかし、もちろん予算もあります。20万円弱という最初の見積もりですから、それでできる限りの仕事をします。多少の予算オーバーは構わないということでしたが、それで収めるのもプロの仕事です。

 石で囲んで島を作りました。この中を、土を盛り上げ、植栽スペースします。
 今まで細かい道がいくつもありましたが、区画を大きく4つにしたので、その間に前より広めの道を作っていきます。

 ドウダンツツジで生垣を作りました。花は期待しないということで、強剪定でき紅葉のきれいなこちらを選択。高さ120センチで杭を決めておりますので、仕上がりもそれに合わせます。庭が広くなった分、少し内側に植えています。

 生垣を短くして、平らな石を乱張りにすることで、新聞受けの前のスペースを広げます。歩けるスペースが増えると何かと楽になりますから。奥の園路をいじる余裕はないので、手前だけ石組みを直し、園路も拡張することで入り口からの遠近感が強調されて、奥行きが増しました。

 フェンス脇には、移植したレンゲつつじに合わせて、常緑性の赤花アセビと、ジンチョウゲを植えます。花がきれいで、管理しやすい樹木を植えました。中からだけでなく、外から見ても良くなります。

 石組みの中に、クリスマスローズを数株植えました。花色がミックスのケースを仕入れたので、何色が咲くかお楽しみに混ぜて寄せ植えに。こちらのお宅にたくさんあった春蘭の株も取っておいたので、小出しに合わせて使っていきます。できるだけ常緑性の下草で、雑草の生えるのを抑える狙いもあります。

ドウダンツツジの下には芝桜を。今年花が咲き、新芽を伸ばしてガレージ前を彩ることでしょう。入り口前には彩りがほしいですからね。

 一枚だけ残った使うに困った大きめの石を、最初の一歩目ということで、庭の入口に配置しました。飛び石を敷かないとしても、やっぱり入り口はあった方が感じが出ます。ですので生垣もその分空けて作りました。
 ただし、使える石がこれしかなく、実は形が良くないので、鋭くとがった部分にはコニファーのゴールデンモップを植えて隠します。隣に植えてあるお客様のお気に入りの五色南天の赤色に合わせて、ゴールデンモップの金色と、その周囲に植える玉リュウの緑色とのコントラストが美しくように考えしました。葉っぱの色合わせは、花と違って時期を選ばずそこにあるだけでいいのですから使わない手はないですよ。

 ここまでやったら、奥の部分もできるだけ形を取り直そうとまたお節介です。喜んでもらえるなら頑張るぞ!

 はがして積んでおいた玉リュウを、また奥に移動します。そして、擬木でできた杭を一度全て抜きます。バラの植えてあった花壇を壊したので、花壇自体の厚みを薄くして、最低限のスペースにします。おかげで手前の庭がさらに奥行き取ることができました。

 前述の花壇には、お客様の好きな五色南天を植えます。しかし、五色南天自体は、造園材料の優良児として、個人宅だけではなくお店や会社の寄せ植えなど、あまりにも用いられているものです。ですからよそと同じような作りでは面白くないので自分は多くは用いません。今回は玉物や、背のある庭木が使えないので列植します。
 後は次の日、玉リュウを植え戻して、奥の花壇の先をつなげれば完成!という予定でしたが、夜お客様からお電話がありました。「飛び石いらないと言いましたが、できるのを見ていたら、やっぱりあった方がいいかと思うようになって…。」
 作っている最中から、近所の方々が見に来たり、通る方から声をかけられたり、お客様自身も庭がきれいになっていくことがうれしくて仕方がない様子。最初に飛び石のお話をしたときは、そこまでイメージできなかったものが、ここまで完成することでさらによくなることがわかったようです。しかし、当初の予定からはずしたため、しかももともと大きいサイズの石がなかったため今のままでは飛び石は作れません。

 さらにもう一つ注文が。道路ぎわのお隣との角に木がほしいそうです。「最初お願いした時はみんな抜いちゃってって言ったけど、やっぱり角にあった南天残しておいてもよかったと思って。」お客様のお宅には、縁起担ぎに南天がいくつか植えられています。ここもそういう意味でもあってよかったと。「素人で何にもわからなくて、木も飛び石もいらないと言ったけど、言われた通りでした。」申し訳なさそうにおしゃっておりましたが、こういうことって説明してもわかることではありませんもの、仕方ないです。
 しかし、今日の明日、しかも12時間後にはお客様のお宅に行く時間です。こちらも狼狽えても仕方のない状況。なのですが、こういう時って不思議です。こちらのお客様のために家に残っていたように、ちょうどよい石も、庭木も我が家にあるのです!
 

 ちょうど別の現場で出た鉄平石の飛び石がありました。これはお客様のお宅にある小さな平板の石と同じ素材ですから混ぜても違和感なし。しかも一人でやっと抱えられる大きさ。安定感が小さい石とは比べ物になりませんし、枚数に限りがあるのですが、多少間隔があいてもおかしく見えません。
 運のいいことに、一枚だけ踏み出しの石を置いた場所があるので、そこから居間の前の沓脱石から来る支線と合流するように、奥の園路へと飛び石をつなげることとします。やっぱり最後にお客様が決断くださって庭の高級感が高まったと言えます。

 東京から頼もしい助っ人が、わざわざ野田まで来てくださいました。祖父の代には植木屋を営んでいたお宅のお嬢様です。現在、お母様と二人で植木と畑を維持されているとのこと。(お父様はサラリーマンだそうです)ご本人も勤め人からの出戻りで、共感するところが多々あります。玉リュウの扱いには慣れているので、植え込みをお願いしました。大変な作業をお願いしてすいません、ありがとうございました!

 コーナーに使用したのは、西洋ヒイラギ南天’マホニア・チャリティー’。この辺りでは見ない分、高級感が出ました。

 実は新聞受けから奥に伸びる園路は途中で終わっていたため、こちらで新たな道を切り開き、庭を周回できるように直しました。その間の花壇スペースに、残しておいたソテツで寄せ植えを作り、家から持ってきたアガパンサスを植え、ヤブランや春蘭を植え戻しました。うーん、ちょっと空きすぎている感もありますが、最低限としては何とかなるかな。

 奥の花壇と園路も何とか形になってきました。こちらのお宅にある石は、旦那様が自転車や台車で何度も行き来して、造園屋さんから買ってきたものだそうです。夜、会社から帰った後でも買いに行くほど心血注いだものです。一つでも多く使っていきたいと、最後に残ったこぶし大の石も、延段風に土に埋めて園路に用いました。

 松の前にあったボタンも、石で囲んでその場に残しました。小さくても花が咲くそうです。さらに今はしぼんでいるイワヒバも一か所に集めて松の前に植えなおします。アクセントに、一つだけツゲの玉物を持ってきて植えました。これはお客様に、玉物の復権をアピールするためでもあります。

 お客様が思わず「あら可愛い!」と言っていただけてよかったですが、庭の隅にきれいな玉石が捨てられるように積んでありました。他の角ばった石とイメージが違いますし、そのまま打ち捨てられているのももったいないので、玉リュウの植栽の中に置き場所を作ってみました。

 本来なら延段の石を、コンクリ等で固める予定でしたが、「そこまでしてもらわなくてもいいですよ。」とお客様から恐縮したお言葉をいただいたので、予算もあることでしたので、今回は甘えることにします。ただし、草が生えてくるのは必至なので、最初の手入れはしっかりお願いしました。

 「玉物も、どうせ花が咲かないし、大きくなっちゃってカッコ悪いからいりません。」本来なら切り方が悪いだけで、玉物は役に立つものなんですが、すでに気持ちの中でこれからも植えたくないものになってしまったようです。