庭の主役は誰か?
もちろん、その庭の持ち主、お客様ご自身です。
たまにそれをはき違えて、自分が芸術家のように作庭する庭師もいます。
しかし我々は、専門家の立場からよくなるようにアドバイスすることが仕事の基本だと思っています。
そのアドバイスにより全てを頼まれる方、部分的に注文される方、それはお施主さんの自由。
その中で自分が一番好むスタイルは、やる気のあるお客様と一緒に、お客様のお庭をプロデュースすることです。
ご自分のお庭なのですから、楽しみながら一緒に作ると、さらに庭に愛着が湧きます。

お客様と作る庭
植栽・施工

 今回で、こちらのお客様とは4度目の共同作業になりました。
急がず、楽しむ事を心がけて、時間と余裕のあるときに庭を作ってきました。
基本はご自分で作られています。自分はそこにプロの手法を伝授し、ここまでの庭になったのです。

庭作りは道楽かもしれません。
しかし、自分で楽しんで、進んでやってみようと思うと、意外と安上がりで面白い道楽です。
全てをご自分で作る必要はありません。
できないこと、まとまらなくなって困ったときなどは、我々を頼ってください。
一緒につくる楽しみやプロのやり方が学べ、さらに造形が深まりますよ。
そして、一回で完成させなくとも、時間をかけて庭に必要なものを集めていくことも意外と癖になっちゃいます。

相嶋造園

親サイトも情報満載!

 最初にご相談を頂いたときの庭の状態。注文住宅ということで、なかなか凝ったエクステリアが配置してありました。
 植えてあるのは、お母様から新築祝いに贈られた白樺3本のみ。ここまで作ってもらったはいいけど、さてこの先どうしよう?まったく方向性が見えない中、お客様のイメージを一緒に形にしていきました。

 先ずはシンボルツリーから。お客様と植木センターで待ち合わせて、一緒に庭木を選定。
そこから話を膨らませていきます。
 実際に植えてみないと伝わらないこと、やらせてもらわないと意図が見えない作業があります。
それを理解してもらい、できるところから作っていきました。今回の作業までにできた形はこちらになります。

 メインツリーはヤマボウシ。ウッドデッキの奥にはトネリコが控えます。トキワマンサクをロウソクに3本植え、お隣の目隠しに。あこがれのオリーブを2本。もちろん種類を変えて実が生るように。クリスマスツリーにプンゲンス。家の前の表札裏にはエゴの株立ちを。他にナンテン、プリペット・シルバーリーフ、山アジサイなどを植えています。

 飛び石や、囲み石は、お近くにあるご両親のお宅で使っていないものを物色。たくさんのお宝を貰い受けてきました。
それをインスピレーションで使えるように並べてみました。
「さすがですね〜!」ここのだんなさまは持ち上げるのがうまい!そう連発で誉められるとこちらもがんばっちゃいますよ。
 その石に添える下草として、ふっき草やハイビャクシンなどを植えます。

 水洗や花壇、芝植えはお客様がご自身で施工しました。こちらもびっくりするいい仕上がり。楽しまれているのがよくわかります。
ネットでグランドカバーやハーブを色々注文されて、彩りも華やかになりました。

 今回4回目の植え込みは、「ここまでできたのに何かもの足りない。後どうしたらよくなりますかね?」の相談からはじまりました。こちらのご主人、全然畑違いの仕事をしているのに、すばらしく植木と庭を見るセンスがあります。
今までも、どきっ!とさせられる鋭い発言を繰り返されました。
今回のご相談も、実は自分もやりたいなと思っていることがあっただけに、また鋭い発言をなされたとびっくり。
そこで、「実は自分もやりたいことがあります。」と。そこから庭にメリハリをつける作業が生まれたのです。

メインツリーを植えた左側、ちょうど玄関前のステップなのに、ウッドデッキの脚が見えすぎで折角の植え込みも空間がぼやけて感じていました。
 ここに模様のある石を並べ、低木のコニファーやギボウシなどを植え込みます。すると、玄関のステップから自然と流れるようにヤマボウシの石組みにつながっていくデザインになりました。これのおかげで、枕木の延べ段も突き当りができて留まるようになりました。
「空間を塞ぐことで、返って空間に広がりが生まれるのですね。」お客様、その発言、まさにその通り。返す言葉がありませんよ。

 表札のある入り口前の壁の裏面です。
フキが植えてありましたが、折角ウッドデッキから眺められる場所なのに、ただ放置しておくのはもったいない場所。
 アセビとボリュームのある石で、壁面をキャンバスに見立て、絵画を描きます。
「その木は今まで自分の家にある木とイメージ違いますね。自分では選ばない木です。でもすごくよくなりました。奥に転がした石もいいですね。」
また鋭い観察眼!庭師に引き抜きたいです。エゴノキに合わせ、和風っぽい木をわざと選び、壁面の派手さに落ち着きを出したかったのです。奥の石はまさに’捨石’ただ転がすだけの、まさに自然にある石のイメージなのに、あると視点が定まるのです。これに庭園灯を建てれば、さらによくなります。そこはご主人の仕事になりました。

 入り口の壁を張ったあまりの偽石を、大工さんが置いていってくれたそうです。ならそれも使っちゃいましょう。ということで、芝留めの境界を作ります。
 ご主人にセメントを捏ねてもらい、その間に設置準備。

 こちらのお宅は、ホント宝の山が眠っています。数枚の平べったいレンガを発見。これをベースにして、その上に偽石を積むことにします。これなら壊すときも簡単。いい感じに枚数がありましたので、先ずレンガを波状に並べ、敷きたい形を決めます。
 全部境界を作っても花壇のようで面白くありません。レンガの間に、ブルーバードやエリコイデス、バーハーバーなどのコニファーやボックスウッドを使って、枚数の足りなさを補うと共に、単なる仕切りならないデザインにします。

 最後に、レンガを隠すように埋め戻し、洋芝をぎりぎりまで貼りなおします。球根を植えるミニ花壇もついでに作製。アクセントにシバサクラも混ぜてみました。生えそろうのが楽しみです。

 勢いに任せて、水洗の縁取りも二人でがんばりました。やっぱり手製ながらちゃんと積んであるとよく見えます。また、この家にない彩りの葉が欲しかったので、コニファーのヨーロッパゴールドの苗木を植えます。将来の大きさはこれから次第で調節。

 「次回は何をしようか?」すでにお客様の目は先を見ています。緑でうっそうした感じにしたいので、まだまだ植えたいそうですが、それはこれからお子様誕生の記念樹や、さらにいい木があったときのスペースに取っておくことで、また将来の楽しみができました。
庭木の生長次第でもスペースのとり方が変わりますので、年数を置いてみていいと思いますし。 
 もちろん自分の中にもまだやり残しが多々存在します。それはさらに時間をかけて煮詰めて、さらによい物を提供し続けたいと思っております。

お母様の白樺も寄せ植え風に移植。