大きな石は、庭に並べた時の存在感も立体感もやはり違います。
しかし、大きさが変わっても並べる基本は変わりません。
ただし、人力では動かないものですので、クレーンを使って並べています。

庭に石を並べよう 上級編
〜クレーンで吊る大石〜
植栽・施工

 「今の庭では、車を並べて置いたとき、助手席側のドアが石にぶつかって開けられないので、石をもっと詰めてドアが開けられるスペースをとれないか?」
という、ご相談がきました。
 こちらのお客様のお宅は、大きな石で駐車場と、植え込みスペースの仕切りがしてあるので、それをずらして組みなおすのは、実は新規で並べるよりも大変な作業です。
 もちろん、できないなんてことはありません!順番に作業をしていきましょう。

大きな石は、小さな石と違い、簡単に扱えると言えるものではありません。
実際には、クレーンで石を吊る難しさや方法を書きたかったのですが、誰にでも扱えるわけではないので、ここでは省略しております。
石並べが面白いのは、こだわればキリがない世界であり、こだわらなければうまく誤魔化す方法もいくらでもあるところです。
それだけ施工する人間の個性が出てくる作業です。
他の作業にも言えますが、数をこなすほど見えてくるものがあります。
良いものを見る、知識を増やす、それだけでもうまくなれます。
皆さん、庭を楽しみましょう!

 大きなサツキや、ツツジの玉ものの下になっているため、石がわかりづらい状態ではありますが、大きな石をベースに、2〜3段の石組みになって庭の高低差を作っております。
 この石に庭木が垂れ下がる作りが、お客様のお気に入りです。
ただ、ちょっとかぶりすぎかな? 
 約50センチ奥に引っ込めて、駐車スペースを広げます。

 組みなおす場合は置いてある位置をずらせばよいのですから、簡単に思われるかもしれません。
しかし、実際には言っているほど簡単ではないのです。植えてある木も育っているわけですし、土を掻き出さねばならず、入れ方や置き方を工夫しなければ置くことすらできません。幅がなくなる分、一つの石に高さが必要になるので、同じ仕様で置くことはできないのです。
 一度更地にして、組みなおす方がよっぽど楽な仕事です。そうしたら大工事になります。
組みあがったパズルを、逆順で壊していくように、はさまっている上のものからはずしていきます。

 先ずは植木からどかします。
準備として木を刈り込み、移植時の木の負担を減らし、幅が狭くなり掘りやすくなります。
 実際の形は、植え戻しながら仕上げるので、このときはとりあえず小さめに刈っておきます。

 一番上に載っている、中央付近にあるドウダンツツジを掘り上げます。
新規と違い、端から決めてしまうと、石組みが最後にきて合わなくなったり足りなくなる恐れがあるので、一番の見つけになるポイントに良い石を持ってくるようにして、途中からはじめます。
 このドウダンツツジのあったところが、家から見たベストポイントでもあります。
ここの一段目に、大きくて見栄えのよい石を持ってきます。

 根っこの下に、瘤のように段になって、さらに根のかたまりが続いています。
この、段になった下が元の根っこ。その上は、この石組みに合うように木を深く植えたことで発生した根なのです。
まさか、掘り返して植えなおすなんて当時作った人も思わなかったでしょう。
とは言え、これを掘るのは大変な作業。あるものを利用する場合のリスクの一つです。
 ようやく掘れても手では動かない大きさ。クレーンで吊って、根も小さくカットします。
新しく組みなおす石組みは、さらに植えるスペースも狭くなるので、出来る限り小さくします。

 石も一度外に吊り出して、形をチェックし、使い方を考えなおします。
 これはかなり埋まっていました。一番手前の土留めに使うことにし、出してそのまま置いておきます。
 石は、均等な形をしていないので、ワイヤーを掛けるのが非常に難しいです。
相手は優に500キロを超える石です。下手に手を出すと潰されます。
 また、この作業は玉掛けの技能講習修了者でなければ行えませんので、挑戦しようなどと思っても、資格者以外は作業できませんのでご注意を。

 コンクリートで固められた前列は、ハンマーで砕いたり、時にハンマードリルを用いてコンクリートを割ります。
 今回最大級1,8トン!の石です。
見た瞬間、メインに据えることに決定です。

 先ずは、先にはずした石を、隣の石とうまくかみ合わせていきます。若干下に出来たくぼみには、別の石でお化粧を施します。
 手間に見える、コンクリートの端から随分奥に引っ込みました。左の石は動かさず使うことになりました。

 その隣に、メインにする1,8トンの石を並べました。
形の変化が面白い石です。くぼんでいる部分を天端に持ってくるのは、そこに水が溜まる風情を楽しむ、和風の石並べの基本です。
 メインの石を引き立てるように、小さな石を配置し、さらに空いている隙間に改装前に植えてあったスズランや竜のヒゲで隙間を隠し、その根で土が流れ出るのを防ぎます。
 先ほどのドウダンツツジやサツキも植えなおしてみました。

 何となく雰囲気がわかってもらえたでしょうか?さらにこの上に石を置いて、土砂が流れるのを防ぎます。
石を押し込む分、土も半端ではない量が余りました。機械が入らないので手掘りです。これはきつい。
しかも、まだ全体の三分の一程度しか終わっておりません。

 石を取りはずした箇所を、さらに仕上げていきます。
 入り口から見ると、全然変わっているように見えませんね。それだけ引っ込んだということです。

 さらに繋げていきます。今まで縦に使って埋まっていた石も、横にして使ったりもします。
隣の石との繋がりや、ボリュームを活かす使い方を心がけます。頭の中で、石の向きがくるくる回ってます。
 しかし、埋める量が多くなるほど石は安定します。
今回はバールではなく、写真に写っている棒のような鉄パイプで土突いています。

 上記で横に置いた石に、さらに小さめの石を横にいくつかかみ合わせます。
その上に、お客様が一番お気に入りの赤い花のツツジを植えます。石の隙間が少ないために、植木の根を入れ込むのは難しい作業でした。
本来は、小さめの木を植えて、そこに合う大きさに育てる方が根も小さく入れやすいので、作業効率は上がります。
ツツジの裏手に、持てるくらいの石を用い、二段目の石組みをしました。ここは松の枝の下で、さすがにクレーンも吊り入れられませんでした。

 ここからは、続けて端まで作業せず、一番左端の石組みから並べなおしていきます。
先に書いたように、作り替えの場合は、端で調節するよりも間で石同士のかみ合わせを考える方が作業効率がよくなります。
 こちらの石組みを作った植木屋さんも、処理に困ったのか、楽をしたのか端の石に来るほどセメントで隙間を塞ぐ箇所が増えました。
 セメントがはっきりしすぎると、無粋に見えますから、我が家ではなるべくセメントで塞がない方針で、石の繋ぎを考えています。

 んー、やはりこの同じ石を、そのまま奥に押し込んで使うにしても、右側下のくびれた隙間は埋めようがありません。できるだけぴったりする小型の石を探します。
 後は、不本意ながらセメントで固めましょう。

 これで、全ての石を一度ばらばらに壊し終わりました。後はまだの箇所を並べなおすだけ。
右端から、順に左の石組みに繋げていきます。
 残った石をどう繋ぐか、この辺で確認です。
半端な隙間にならないようにしないと恥ずかしいですので。
大きな石は、もう1ッコだけですね。

 三つ繋いで見ましたが、どうも三つ目の石の形がよくありません。
本来は三分の二まで埋まっていた石ですが、大きな石がないせいで、この高さで使いたいと高くしました。
 なので、右写真のように、目立つ箇所にはサツキを垂らすように植えたり、小さな石をかませたりして、形の悪さを良い見栄えに変えていきます。埋めていない分倒れないように、忘れずによく土突きます。

 小さな石をかませ、その上に竜のヒゲを植えます。
将来はもっとボサボサになり、隙間全体から張り出すことになるでしょう。
そうなると、見栄えも自然で、ダイナミックになるでしょうね。
先々の光景を浮かべながら庭造りをするのは、楽しい作業です。

 今回の庭木の一番の大物、背丈を越すオオムラサキツツジです。抜くのがホントに大変でした。
お客様も、「こんな大変だとは思わなかった。」と、びっくりするほどしんどい作業でした。
二段になった根っこを切って小さくします。
 今切っているのは、根というより昔の’幹’です。相当埋めてありました。
 同時に、地上部分も一番いい時期ですので、思いっきり小さくします。

 無事背丈より低くなって、元の場所に収まりました。
後ろも含めて石で囲って、土が流出しないように処理していきます。
 同じ場所でも、作業前の鬱陶しさはなくなりました。

 最後の繋ぎは、残った小さめの石を平らに使用し、兼ねてからの計画通り階段状に。

 お客様にとっては、カッコよい仕上がりが全てでしょう。
しかし我々にとっては、その後の’管理のしやすさ’というものも、大切な要因です。
特に、このような高さのある石組みの場合、出入りできる場所があるかないかだけで、どれだけ選定作業が楽になることか。それによって、お客様自身の経費も節約できるわけです。
 さりげない階段に、最初は気づかなかったお客様も、説明することで階段を認識し、納得くださいました。

 完成です!
今まで、玉ものが大きくなりすぎていたせいで、まったく石が見えていませんでしたが、今回かなり小さくしたせいで、石組みのよさを再認識。

 記事の中には出てきていませんが、すぐ上の写真に写る左側も、後から頼まれ、結局並べなおしをしております。

 石を引っ込ませた分土が露出しましたので、その部分にコンクリを塗って(網を入れます)、駐車スペースを平らに均せば本当の完成です。
では、失礼して完成させて参ります。

相嶋造園

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