庭を作る過程において、昔から決められている作法があります。
その作法を使わなければいけないとか、守らなければいけないという束縛はありませんが、日本人の美意識がそこにはあるわけで、知っているだけで大変勉強になります。

日本人の美意識の一つが、ここに取り上げた真・行・草という考え方です。
これは何も庭造りに限ることではなく、まさに美意識からくる表現。
真(しん)は、規則どおりに四角四面にきっちり作ること。
行(ぎょう)は、規則を守りながらも一部変化を見せるように手を加えること。
草(そう)は、自由な発想のもと自分を表現すること。

華道でも、茶道でもその作法は存在し、それによって流派が成り立っているわけです。
日頃使っているPCのフォントにもそれは見ることができます。
それが、楷書体、行書体、草書体です。
3書体並べてみるとその違いがよくわかります。

真・行・草について考える
植栽・施工

 「自分で張った芝が枯れてきました。他にも直したいところがあるので相談に乗ってください。」
お客様からご依頼いただきました。
 そこでお客様とお話をする中で、自分が真・行・草の扱いがあるとポロっとお話すると、「それ、先日別のところで聞いたのですが、よくわからないで来てしまいました。詳しく教えてください!」
急に勢いこまれたので、ちょっとびっくりしましたが、教えるほど大した話ではありません。
これは実践で使ってこそ意味のあることですから。
 という流れから、ではお客様のお庭を手直しする中で、この真・行・草を使ってみましょう、ということになりました。皆さんにもどう感じるか考えていただきましょう。

自分で庭を設計する場合、ここは真で、ここは草で…、なんて考えて作ることはありません。
自然とその場にあった印象で考えればいいだけですからね。
しかし、意識しなくともこういう作法は頭にある上で作業していることもまた事実。
知っているのと知らないのとではやっぱり違うものです。
それを知った上で、昔の庭園を見てみると、今まで見過ごしていた作法が見えてくるかもしれません。
実際、延段の仕様などでそれを見ることもできますし。
また、最初に書いたようにこれは日本文化全体に当てはめられる考えですから、仕事なんかにも置き換えてみると新たな視点が生まれるかもしれませんよ。

相嶋造園

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 「ドウダンツツジを頼んだのですが、持ってきてくれたのがこれだったのです。」ん!?これってボックスウッドにしか見えないのですが、どうしたらこれとドウダンを間違えて持ってくるのでしょう?お知り合いに頼んだそうで、突っ込めなかったらしいのですが。

 芝は草取りをしないとこうなっちゃいますね。クローバーが侵食しております。見ずらいですが、家の前の芝が数枚枯れています。ベランダの下は雨が当たらないので、こうなります。南天もボサボサです。

 こちらも自分で植えたレッドロビン。
支柱を立てていないので、枝が開いてしまって形が悪くなっています。とは言え元気だし修正は可能ですが、車を停める時に枝が邪魔になる、お隣に迷惑、など伸びる枝の生垣はもう嫌だということで、これも植え替える計画です。

上記にあげた問題点を解決しながら、庭をリフォームします。それと共に真・行・草の施工例を紹介しましょう。

真の庭;生垣作製、ピンコロ並べ

 レッドロビンではなくて何がよいのか?
お客様に希望があるか聞いてみると、「ツゲなんかはどうですか?あまり枝が張らないようだし、きれいですよね?」
正直申しまして、自分より若いお客様から、’ツゲ’、なんて渋い選択が返ってくるとはびっくり!と同時に大変うれしく感じました。まだ良さが分かってくれる若い方もいるんだ。
 やっぱりツゲはいいと思いますよ。ツゲと、キャラは自分の一番のお気に入り生垣素材です。ちゃんと管理すればとてもきれいに仕上がります。特にこのように3m未満という短さで、高さも高くしないなら、大きな葉のものではいまいち様になりません。
 ここは日当たりもいいので、新芽が黄色く鮮やかに芽吹く、’金芽ツゲ’を使用します。

 レッドロビンを引き抜いて、竹と杭を用いて生垣の受けをきちんと作ります。これにより植えたツゲもさらに引き立ちます。真の仕様らしく整然としたスタイルで完成です。

 御主人がしっかり水を入れてくれています。これは樹木に水を与えるためではなく、根つきを良くするために大切な作業。とても丁寧におこなってくださいました。

 芝を張り直すために、下地作りを始めたのですが、家の方が並べた南天の足もとのピンコロが、大分デコボコしていることに気付きました。並べただけなので仕方のないことです。
 整地しながら、こちらにも水平機をあて、ガタガタしないように突き固めて、ピンコロを水平に並べます。
ボサボサになっていた南天も剪定してすっきりしました。

行の庭;ジューンベリー周りのレンガ並べ

 玄関左側の花壇に植えてあったジューンベリーの苗木を、将来性を考え、芝生の中心部に移動します。
その代り、そこには星型の花がかわいい山アジサイを植え、周りに草花を配置。

 こちらは、あえてデコボコの段差をつけてレンガを並べます。全てがきちんと決まっていても面白みがありませんからね。

 熟して食べごろの実。
ですが生で食べる人は少ないかと思っていましたが、家のお子さんたちが「これ、うめっ!」っと全て食べてしまったのこと。売っているものではないだけに、贅沢なことかもしれません。
 そういう話を聞いちゃうと、余計もっと大きなになってほしいですね。ジューンベリーは紅葉もきれいですから、この地に合う樹木だと思います。

行の庭;ボックスウッド植え替え

 ドウダンツツジを頼んだつもりが、来たのはボックスウッドだった…。しかも6本も植えてありました。ここはいわゆる’主庭’です。家の顔とも言えるスペースなのですから、同じものを列植するよりも、植えたい物や変化をつけた植栽にすることで個性を出したいですね。まさに自由に作り込む草の庭です。
 樹木は、軽トラ側から、ドウダンツツジ(やはり本物ははずせません!)、クリスマスホーリー、シャラ、ヤマボウシ(元々あった樹木)を植えております。

 ボックスウッドは、十分楽しんだということで全て引き抜きこちらで引き取ります。
ヤマボウシはまだ小さいものですが、品種ものでもあるのでこのまま残すため、一度根巻きをして養生します。

 下草を植えこめば完成です。家にあった樹木が苗木でしたから、それに合わせて最初から大きい樹木はシャラ以外入れておりません。全体の調子を見ながら大きくしていきます。
しかし、これだけでは面白くありませんから、草の庭のごとく、色々植えてみました。

 「だまされたつもりで、石を1個置いてみませんか?」全然そんな気のなかったお客様に無理を言って、持ってきた石を置き、下草でバランスをとります。

 家側から見るのと、反対の道路側から見るのと印象を変えたかったので、植え方を変えています。「石一つで、こんなに印象変わるんですね。」お客様も納得くださいました。

 石に合わせたハイビャクシンの左手には、カスミソウを植えています。一見ミスマッチが自然風の庭になっていくんだな、と思います。その他芝桜、アベリア、ふっき草、黒竜などを使用。

 門の外には庭桜。春はやっぱり桜が恋しいです。これは大きくならない桜ですから、可憐で可愛いですよ。問題はここの部分の乾燥ですが。

3mにはしたいですね。