造園スタイルの中に、’雑木の庭’というものがあります。
自分はこの雑木という表現があまり好きではありません。だって、雑木という木はないですから。
全ての樹木には名前がついております。それがいくつわかるか難しいことですけど、できるだけ固有名詞でかわいがってあげたいですね。
しかも、雑木といういい方は、かなり大雑把な表現です。
せめて、総称として自然樹形樹としてここでは使っていきたいと思います。

今回は、そんな樹木を使って庭の改修をご紹介いたします。

自然樹形の樹木のあふれたお庭に@
植栽・施工

習志野市 Nさま邸 
 以前からHPを見て、手入れの参考にしてくださっていたそうですが、今回ようやく頼む機会ができた、とうれしいお言葉をいただきました。
実はそういうファンの方多いのですよ。これからも、楽しめるページ作りがんばります!
それではいきさつから追っていきましょう。

自然樹形の樹木を中心とした庭は、今大変人気のあるジャンルです。
単におしゃれなだけではなく、一時期作り込みすぎた庭に食傷気味となり、自然回帰的な動きがあるのではと感じています。
これは人気のあるなしに関わらず、これからも続くでしょう。
より自然に近づけた庭を作ろうと意気込みすぎて、出来たものが不自然になってしまうのは仕方がないことか、と最近思っております。
やはりまったくの自然には勝てません。だからこそあこがれは募るでしょう。

相嶋造園

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 最初のご依頼内容は、庭木の剪定と、日よけに部屋の前2か所に作られている、キウイ棚の支柱の建て替えです。
 しかし、よく話を聞いてみると、このキウイはなっても食べるわけではなく、単なる日よけ目的なだけとのこと。ならばツルは伸び放題になり、葉も大きく大味なキウイが庭の一番いい位置にある必要があるでしょうか?そこから話が膨らみました。

 もうひとつ、大きな悩みがあったようです。
 それが家の両サイドに生け垣として植えてあるカイズカイブキです。大きく、厚みも出てしまっているため、これを良くしていくのはかなり根気が入ります。

 昨年は、今まで来ていた植木屋さんに手入れしてもらっていないということで、五葉松もすごいことに。もとからカッコを取っていなかった感があります。お客様も剪定のコツを教えてもらいたいということ。

 最終的にお客様とまとめた結論は、庭全体を単に表面だけ整えた刈り込みだけの仕事ではなく、なるべく自然な樹形に近づける剪定をしていくということ。
 キウイ棚は壊し、冬の日差しを入れることも考慮し、落葉樹を植えることにし、後々それを日よけの大きさに育てていきます。お客様は、毎年日光に遊びに行くそうです。日光までは無理ですが、ああいう自然樹形の樹木の立ち並ぶ庭を理想とし、少しでも近づける植え込みをしたいと思います。
同じように、カイズカイブキも抜き、お客様の好きなアラカシを植えることにします。
イメージとしては、1本立ちのアラカシを生垣状に植えるのではなく、株立ちのアラカシ使い、それぞれが独立した形に仕立てて列植することとします。


では、実際の作業に取り掛かりましょう!

 助っ人が来てくれている初日に、一番大変なキウイ棚の解体から始めます。家に近すぎるため、一気に引き倒しての解体と言うわけにはいかないので、端から順々に切り落としていきます。
支柱にしている丸太も刻みながら、最終的に大柱の骨組みとキウイの幹元を残したところまで一気に終わらせます。

 2か所目の棚も同じように解体。この2か所のキウイ棚解体だけで軽トラックの荷台が山となりました。それでも落葉期なのでまだ楽です。最後に根も掘り上げます。

 残る樹木の剪定に入ります。キンモクセイ以外は刈込みハサミを使わずに、自然樹林風に仕上げていきます。モッコクも全体の枝数を減らすように透かしていきます。上記は上半分終わらせたところ。混み具合の差が歴然です。しかも時間をかけずになるべく’いい加減’に剪定するのも腕の見せ所です。

 好きなようにしていいと言われた五葉松。今まで枝同士がくっついているほど多かった枝数を減らし、無意味に一番下で張り出していた大枝も切ってしまい、縄でひっぱりスタイルをシェイプアップ!効果のほどは数年かかりますが、いい枝振りにさせる自信あり!

 先に植え数が少ない方から始めます。
 株立ち樹木3本を割り振ります。そのために南天や白ヤマブキなど移動させ、お客様が目隠ししたい場所や、日よけにしたい場所に3本を配置します。
 手前から、シャラ、トネリコ、山ボウシです。形も個性も違う落葉株立ちを合わせてみました。
 支柱を立て、樹形を整えます。

 仕入先で見ただけで惚れ込んだ山取りのトネリコ。3本の立ち方も、幹肌の色合いもよく出ていて美しいです。山取りは同じものが存在しないレア感もたまりません。

 放射状にきれいな形で仕立てられている本株立ちの山ボウシ。やはり一目ぼれ!

 ボリューム感たっぷりの本株立ちのシャラ。入口からの目隠しを兼ねての選択です。こちらも高さはありませんが、見事な株の広がりがあります。

 大小様々な大きさのモミジを持ってきました。変に均等にならないようにと、あまり真っすぐときれいに植えつけないよう意識します。自然に近いように植えるのは難しいです。どうしてもわざとらしくなってしまいます。まだ小さいモミジですが、今後伸ばし方でさらに方向性を考えていきます。

 さすが高級楊枝の材料となるクロモジ。剪定するといい香が漂います。支柱を立てて形を整え、不要な枝を落としました。モミジも支柱で姿勢を直し、風であおられないようにします。まだ支柱のが太いのでそちらが目立ちますね。

 管理していく上で、枝数が多いというのはそれだけ時間がかかります。これから刈込みでなくはさみで透かす手入れを続けていくなら、今までのように必要以上に重なり枝ができていては、形そのものも作るのが大変です。
 特に低木も多いので、重なるところは切って空間を作ります。

カシの株立ちが入荷しました。それに合わせてカイズカイブキの撤去と植え込みを再開です。

 カシと言うのは、どうしても乾燥に弱いことと、根の張りが悪い樹木です。寒い時期の植え込みを嫌います。ちゃんと定植すれば問題なく育つ(育ちすぎるともいえます)のですが、意外と癖のある樹木なのです。
 仕入れたのは3月中旬。仕入先から「出ものがあったから仕入れておいたよ。」という言葉に、引き取りに行きました。
確かに品物は申し分ありませんでした。価格も安かったので、多めに買いました。しかし、時期的にまだ温かさが安定しているとは言い難いとき。できるだけ、作業は早めに始めたいと思っておりました。
 それがずれたのは、記憶に生々しい大震災があったからです。
お客様のお宅でも被害がありました。家の補修のため施工時期が4月までずれこみ、カシも仮植して様子見です。
 庭の一角にカシを植え、毎日葉から水をかけていましたが、やはりしおれてきました。今ある葉が枯れても、新芽さえ無事ならまた復活します。
それを信じて、植え込みにゴーサインが出たとき、すぐに作業に取り掛かりました。

 30年、この地に根付いてきたカイズカイブキです。人が都合で簡単に抜いてやろうとしても、そうたやすくは作業させてくれません。
 枝だけでも、軽トラに1台では載らない量がありました。カイズカイブキに恨みはありません。返って申し訳ない気持ちです。こうしないためにも、庭木の管理は植える人の責任です。数年後どうなるのか、しっかり考えて管理したいものです。
そのために、植木屋さんが入っていたはずなのに…。

 根を掘る作業していてわかりました。どうやら元の根っこはもっと深いようです。30年の間に庭の形が変わり、知らずに根が埋まってしまったのでしょう。2重、3重に生えています。

 家の両側とも、樹木を抜き終わり、庭が広くなりました。何せ南側など2mも幅を取っていたのですから。地面の高さも、カシを植えるところはできるだけフラットに均します。仕上がり高さは個々で調整して、ある程度の同じレベルで揃えていきます。

 均等にというより、植えるカシの大きさで樹木の幅を決めていきます。生け垣の代わりですが、これから大きくしていくため、あまり細かく植えず、多少の隙間ができるように植え、後は支柱を立てることで調整します。

 株ごとに最低3本の支柱を立てていきます。厚みを出さずに目隠しできるように、できるだけ幹を横広に矯正し、空いているスペースをできるだけふさぎます。

 お客様が気にしている北東のアパート側は、少し細かめに植えました。こちらは日当たりも悪いので、樹木の成長も遅めと判断しました。意識したわけではないのですが、株もこちら側の方が少し立派です。支柱を立てると、右写真のように、堂々とした株立ちのメインになる株です。1本でも様になる物を用意しました。

 モミジの小路を作っているエリアも葉がかなりほこってきました。丁度良いので枝を抜いたり、モミジの今後の伸長を良くするように樹木を剪定します。

 新緑と共に花々が咲きだす庭。掲載している以上に多くの樹木があるので、これから作り込み次第でさらに面白くなる庭です。

 庭自体は狭くないはずなのに、色々な樹木が重なって植えてあります。今までの剪定は表面を刈り込んで小さくして終わり、というのが実情のようです。これには費用などの問題もあるので、それをダメな剪定とすることはできません。問題だったのは、そのやり方と、お客様のやりたかったことの間に意見交換がなかったことだと思います。

 寒い時期にアラカシを植えるのは危険です。カイズカイブキの処理は、アラカシが入荷し次第の暖かくなった時期ということで、今回はこのままキウイ後の落葉樹の植え込みに入ります。

 次に居間のキウイ棚を壊したスペースを考えます。ここは広さがかなりあるし、生活拠点となる部屋の前でもあります。
もともと常緑樹の多いお宅なので、こちらも落葉樹でまとめていきます。
 玄関前にはお客様の好きなクロモジの木。その奥は、これもお客様の好きなモミジを用い、しかもそれを数本植えこむことで今から続くモミジの遊歩道のように仕上げたいと考えました。
 自分も、一般住宅で同じ樹木を用いたこういう植栽は初めての経験ですが、これはすばらしい植栽になっていくだろうと今から楽しみです。

 今後、このモミジの中を歩ける小道にするわけですが、下枝を整理し、頭がぶつからない程度の高さの枝を、重なり合うように仕立てていくのが目標です。