お客様の思い入れとして、天然素材で作った庭にしたいというご相談がありました。
最初は漠然とした意識のようでしたが、打ち合わせを重ねるごとに、思いが強くなったと思います。
自分もそれに答えたいと思いました。
今回は、御影石の縁石を並べて土抱えすることろからの作業です。

天然にこだわった生垣つくり
植栽・施工

 最初はコンサルティング依頼からはじまった現場です。
「震災で大谷石の塀が倒れてしまいました。今度は生垣にしたいと思うのですが、一度コンサルティング願います。場所は土浦と遠いのですがよろしいですか?」
 書き方を略してしまいましたが、とても丁寧な内容のご相談をいただきました。
我が家から50キロ近く離れたところであり、わざわざ我が家に頼まなくても近くにいい庭師の方もいそうです。実際の作業料などの単価も県が違うと安いですし。
 自分の中では、この東北を襲った大地震の被害に対し、少しでも役に立ちたい思いがありましたので、コンサルトすることには何の迷いもありませんでした。その後は、地元の方がいいものを作ってもらえればいいことですから。
まさか、その後も施工を任されるとは夢にも思わなかったというのが本音です。

相嶋造園

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忙しいお客様でしたので、打ち合わせのタイミングも難しく、それなのにこちらの都合に合わせていただいてくださり、大変に感謝いたしております。
今後、木製のポストを置きたいとのことですし、枕木を立てたり、トピアリーも検討したいなど、すでに次のイメージを膨らませております。
そのわくわく感が楽しいのはこちらも同じです。
天然の質感は、本物だけが持つ優しさと味があります。
思ったほど値が張るわけでもありません。
難しいのは、時と共に出てくる味わいと、劣化が同時進行することです。
樹木なら剪定、木製品ならペンキ塗り、縁石は水洗いなどメンテナンスをすることで天然のよさを持続させることができます。これを楽しみながら続けられば、とってもロハスな生活感を持てるのではと考えます。
自分でも、特にこの御影石の縁石との出会いはすばらしいものでした。
お客様に感謝です。
また、植木や資材を探しに行きましょうね!

 土浦駅から歩いて数分の距離にある好立地のお宅です。
無残にも家の前と横側にあった塀が崩れてしまったそうです。特に家の前にあったのは大谷石を用いた塀だったそうで、今回の震災で同じように相当数崩れたことが確認されています。
 家の中も相当ダメージを受けたそうで、外の配管も持ち上がっていましたし、直すところは多々あるようです。
ですから、先ずは中から直していき、後々外溝もやっていくようなお話でした。

 最初にコンサルティングを依頼されたのは、このお隣の駐車場との境です。この犬走りのコンクリートを砕き、ブロック塀の基礎を取り除いて、今度は倒れる心配のない生垣にしたいとの相談でした。
 しかし、実際にこちらのお宅の場合は、この犬走りのコンクリートで家が傾かなかったと思います。実際に砕くにしてもその下を配管が通っていたり、砕いたせいで家に歪みが出る危険性もあります。
 ですから現状維持で、生垣はあきらめてもらう方がよいという結論に達しました。
 仕事としてできないことはないとは思います。しかしそれには普通以上に経費がかかります。現実に直さなければならない箇所が多いのに、生活に直接は影響のない生垣作製で、しかも生垣以上に基礎でお金を使うことを提案する根性はありませんでした。

 これで仕事は終わったと思っておりました。すると「では道路側なら生垣作れないか?」という相談がまいりました。お伺いしてみると、そこでは塀の基礎部分の取り壊し作業をしておりました。
 スペースは多くありませんが、生垣は可能です。施工までお願いされるといううれしい悲鳴になりました。

 玄関自体の作り直しから考えていらっしゃるとのことで、全てきれいに取り除かれました。
先ず先にすることは、玄関の形状と施工です。これは建設屋さんにお願いする作業になります。
 家は道路より高くなっているので、生垣を作る前に、土抱えをしなければなりません。
お客様も色々悩まれたようですが、最終的にブロックではなく、天素材の材料を用いて施工してほしいという結論になり、自分が材料を提案いたしました。
 元々大谷石の塀ができていた場所です。そういういいものを見てきた方であるなら、なおさら作り物で済ませるのは気持ちが落ち着かないのではないかと思います。
天然石の方が単価は高くとも、施工料を合わせると安くできるかもしれません。
決断的にはよかったのではないかと思います。

今回の作業内容です。
 天然石を用いて土抱えをし、生垣を作る。
その際、元の土が悪いので植え込み部分は入れ替える。
先の震災で、目の前の道路も凸凹になっているので、使う縁石にはある程度の大きさを求めていく。
 駐車場横に植えられているクチナシ(左写真)15本を掘り上げ、逆お隣側の塀沿いに仮植し、新たなに目隠しになる樹木を植える。この部分は、後々良くしていきたいので、今回は格好がつく程度に植栽する。

 以上が作業内容になります。植栽内容としては、気軽にできる部類の仕事であります。それで気軽に終わることは少ないのが世の常ですけどね!

 そうこうしている間に、建設屋さんの仕事が終わり、玄関と新しいドアが付きました。
石張りの階段いい感じですが、予想以上に高さが低かったです。
 この色合いと、高さに準じてこちらも材料を選定しなければなりません。
あんまりバランス悪く施工するわけにもいきませんので、当初の計画と少し作戦変更します。
 また、この道路との境界は、くの字に折れています。その道路に沿って縁石を並べてもいいのですが、仕上がりのよさを考えると、直線で行く方がいいだろうとなりました。
 さらに、傾斜地にあるので、地面に水平を取って、縁石の深さを変えていきます。

 いつもお世話になっている松山建設さんに、石材屋さんを紹介いただきました。びっくりするほど広い売り場に、お目当ての御影石を発見。
 こちらでは探しても見つからなかった、大きな縁石の発見です!

 器用に、フォークリフトで使いよさそうな石を選び、積んでもらいました。30×15×90cmの縁石です。ノミで3面だけ面取りをされた、荒々しさの抜けていない自然な仕上げの品です。並べづらいのはありますが、このくらい自然に見えるものの方が、緑にも合わせやすいと思います。しかも安い。残念ながら一般客には売らない、卸専門です。

 とりあえず、草取りからはじめます。同時にクチナシを掘り上げ、スペースを確保します。ここに水糸を張って、高さや並べる位置を決めます。それに沿って、大まかに削ってみました。

 縁石は一枚80キロくらいです。
石運び用のはさみをクレーンに下げて、石を移動させます。

 並べる縁石の下に、固定させるための、セメントと砂を少量の水でこねたバサを作り、一枚づつ並べていきます。

 バサを敷いて、その上に縁石を並べていきます。元々一枚石であり、大きく、重さもあるため、これだけでもしっかり並べれば、改めて基礎を作ったりする必要がない(もちろん用途によります)のが利点です。
 このまま2枚目も水平を取りながらクレーンで吊りおろし、水糸に沿わせて並べていきます。これなら10枚ちょい一気にいけるかな?

 一気にいけると思われましたが、地下を掘り返してみないとわからないのがこの仕事。段々縁石を深く埋めていくに従って、下からなんと掘り返せないほどの大きさの御影石の固まりが出てきて、行く手を遮ります。こういうときほど天然石が手ごわいことはありません。ハンマードリルで砕きますが、仕事が一気にペースダウン!

 最初にある程度見越して掘っておいたのに、微調整するためにさらに掘ったら出てきてしまうという運の悪さ。
とはいえ、これ以上高くするのは強固な土抱えの意味がなくなってしまいます。ここはなんとか砕いたり、切ったりして最低限入れ込める努力をします。

 一日かけて、なんとか並べ終えました。階段両側は、わざと階段より低いものにして階段に圧迫感をかけないように配慮。若干の曲りは、きれいに仕上げていない御影石の自然さと、下に埋まっていたもののせいで、掘り下げきれなかった限界からであります。これは一緒に見ていたお客様も納得くださいました。

 縁石を仕上げる前に、生垣の支柱を立てます。今回は、地面にガラが多すぎて杭が刺さらないため、縁石の深さで切って、一緒にモルタルで固めることにしたためです。

 杭と縁石を、一体化するようにモルタルを巻きました。今回使う生垣用の樹木は、わざと大きい根で掘り上げてきましたので、それを入れるスペースも事前に考慮しておかねばなりません。
 縁石の下側に隙間がないようと、淵が動かないように、特に縁石同士の間がぐらつかないことが大切です。さらには、玄関前に最初に張られた階段の石材の下側もしっかり詰め込みます。この部分わざとそうしておいてくれたのか、基礎部分が石材より引っ込んでいたので、はしを踏んで割れないようによくモルタルを詰め込んで縁石を並べました。全体の目地も、ここでしっかり埋めておきます。

 さらに切りだしておいた天然の竹を横に渡し、杭の垂直を出し、つなぎ合わせることで、モルタルが乾くまで傾かないようにしておきます。
 この状態で中一日おいて、植え込み前の作業とします。
この後は土を入れるので、モルタルの強度が出る前に土をかぶせてしまうわけにはいきませんから。

 このガラは、一か所のものです。これが5か所くらい、しかも掘る土中からもどんどん出てきます。最大で30センチ角を越えるくらいの大きさの御影石の固まりも掘り出しましたが、この御影石のガラが一番の難所でした。
 なぜ基礎下にこんなに御影石が埋められていたのかは難しいところです。もしかすると、大谷石の塀を作る前は御影石の塀で、それを取り壊したガラを下に入れ込んだのかもしれません。とはいえ、そう何度もやりかえるものではありませんから、実態はわかりませんけど。
 おかげでここまで一日で行いたかった作業が、一人分作業日追加で折り返すことになりました。

それでは植栽作業に入りましょう。

 今回用いた樹木はチャイニーズホーリ。西洋ヒイラギの中でも上に伸びやすい品種です。仕入れ先で初めて見たとき、「これは使える!」と思い、その場の全ての本数を抑えました。その半年後には、こちらともう一軒の生垣作製で完売です。

 いい人材がたくさんしてうらやましいと言われますが、人というのは一番貴重な財産ですね。今回の助っ人も何度か仕事を頼んだことのある地元の後輩です。鉢物を得意としていて、部屋にはたくさんの植物がいます(もちろん素人です)。休みは自転車を駆るスポーツマン。暑くてバテそうな日なのに、一日黙々と手伝ってくださいました。
 彼にお願いしているのは、道路と、並べた縁石の隙間の埋め込み。最初は山砂をよく突きこんでもらってから、腐葉土と赤土を混ぜた土を上から入れ込んでもらっています。ただの隙間ではもったいないので、緑を植えましょう。

 チャイニーズホーリ植え付け終了です。ここは条件が厳しいことが分かっていたので、畑から掘り上げる際、根っこを大きく掘り、根巻きしました。おかげで1本づつしか運べない重さでしたが、安定感や、条件の厳しい場所でも耐えられる体力があると思っています。

 植栽を仕上げている間に、お客様の奥様と、助っ人の二人に、縁石の前に玉リュウを植えてもらいました。折角のスペースですから有効に緑化したいですね。コンクリートで固めてもよかったのですが、それでは味気なさすぎです。それと、道路の歪みを直す作業(現在こちらが下がっています)をするかもしれないという先読みからです。できれば玉リュウが根を張って、防草効果と共に、道路と縁石との突っ張る緩衝剤になってくれるといいのですが。

 玄関の左側には、生垣を作った後ろ側にモミジを植えています。玄関に枝がかかるような樹木がほしいという希望でしたので、それならモミジが最適。スペースの関係上、小さいものしか植えられませんでしたが。その下には、やはり玉リュウでグランドカバー。オモトを1本植えて、円形の排水マスを隠します。結局、駐車場側はメッシュ状のフェンスを設置する方向で計画中だそうです。自分もそれでいいと思います。

 玄関右側は、少しスペースを空けて生垣を作っております。このスペースに、新聞受けをつける計画があるためです。それまで何もないのはさびしいので、赤花のアセビを植えて場所ふさぎ。

 クチナシの後に植えるのは、目隠しを兼ねた、常緑性のソヨゴの株立ち、それにそえるサツキとドウダンの玉物、姫シャラの株立ちとギンバイカです。この後どういう風に膨らませていくか楽しみな空間です。

 土を入れなければならなかったのはこちらも同じです。特に姫シャラは個性を持たせて高植えに。玉リュウでアクセントです。助っ人に植えてもらいましたが、土浦の花火大会を彷彿させるラインを描きましたな。

 実際にはポイントしか植えていませんので、まだまだ夢が膨らみます。芝も一度も刈っていないようでしたので、サービスで刈ってあげました。きれいになると、より広さが実感できます。隣の塀際に、最初にあったクチナシを移植です。使い道はこれから考えるということで。

 「このあたりはイチジクの栽培にむいているのか、昔からまわりにたくさんありました。この機会に、うちにも植えなおしたいと思うのですが、植えられますか?」
というご相談をいただきました。イチジクでしたら、それほど場所を選ばず育成させられます。が、大きくなるほど幹に虫が入りやすいこと、枝が大きく張り出すことで実をつけやすくするため、それなりのスペースが必要であることなど、条件的には難しい樹木です。
それを踏まえたうえで、庭の一番奥の角に、試しに甘いというホワイト種を1本植えてみました。

 ちょうど現場に一緒に来た坊ちゃん。できるだけ仕事を見せたいと思っております。

現地作業を始めます。