今までは、家の方が楽しみで洋風な雰囲気にしていたスペースを、和風っぽい植え込みに変えてほしいとの御相談が来ました。
そこは家の前ですが、コンクリートの上です。
先ずはコンクリートをはがして、土を露出させるところから始めるお仕事。
全く違う顔になった玄関前の雰囲気をご覧ください。

華麗なる転身
植栽・施工

 いつもお世話になっている山本建設工業の現場監督から、相談がありました。
「今、リフォームを頼まれているお客様から、玄関前も和風の庭にしたいと言う相談受けたのだけど見てもらえる?」
 聞けば、これからそこでワンコイン着付けを行う施主さんが、着物のイメージに合うように、和風に玄関前を変えたいということらしいのです。
和の扱いこそ、庭師の腕の見せ所。先ずは現場を見せていただきました。

「家の中もすごくきれいにリフォームしてもらって、しかもこんなきれいに植栽してもらえてとってもうれしいわ!」
喜びの声をいただきました。
お客様のイメージにかなり合っていたようで、こちらとしてもほっとしています。
若い方も一緒に住まわれているお宅ですから、管理しやすい中に、伝統的な樹木と、人気の樹木のどちらも取り入れてみました。
やっぱり緑があると家もさらに引き立ちますね。

相嶋造園

 見に来て一番に思ったことは、そのスペースの小ささ。無理もありません。こちらはテナントのオーナーさんのお宅で、自宅と店舗がつながっているのです。
 敷地は広いのですが、建物がいっぱいのため唯一ここだけが植え込みのできるスペースとのこと。

 これ、家の若い方たちが作ったらしいのですが、かわいくできていますよね。このままでもおもしろいですよ。
オーナーさんとしては、これまでがんばって働いてきたので、この辺で贅沢に家も玄関前のリフォームしたいとのこと。
家は大きいのに緑がないのはたしかに寂しいことですね。
 しかし、ここはコンクリートで固められています。まずはコンクリートをはがさねばなりません。
ここは後から施工された場所のようですし、はがしても建物に影響がないことが確認されています。
さらには植栽スペースを前面に10数センチ出すことになっております。
 もちろん、元請けは山本建設さん。土木作業は任せられます。こちらは下準備をしてもらった後、そこに和風の庭を作ればいいわけです。ありがたい仕事です。
 壁の色も一見派手ですが、日本の伝統色の弁柄に通じます。ここはこてこての和風より、自然樹形を多く使い、肩の凝らないモダン和風と呼ばれる今風な植栽を目指すことにしました。

 山本建設さんからコンクリートのハツリ完了の連絡を受け、現場に行きました。さすが専門家が作業したので早くてきれいにカットされています。手前に以前のU字溝が埋まっているという事態も発生しました。

 玄関前と言うのは、掘り返してみないとわからないというリスクが高い場所。今回も予定通りとはいきませんでした。しかし、こちらも色々経験しております。完成までを見ていただきましょう。

 この建物には玄関が二つあります。写真にあるドアが、着付けを行う部屋に通じる入口です。
 アプローチは最後に仕上げてもらうことにして、ドアの両脇に石を並べて、植栽スペースを作っていきます。石で囲うのは、より自然さを出すだけではなく、その囲う形の変化に対応できるからです。

 石を並べながら、並行して植えたバランスを見るために掘り返してみました。
 すると、予想通りのハプニングです。
植え込みたい場所のすぐ下15cmの位置に、下水管と水道管を発見。このせいで植木を深く埋めることができなくなりました。
 また、思ったほど土もよくありません。
砂利混じり、粘土質なので、土盛り用の赤土使いなじむように心がけます。
 最初に出てきたU字溝もネックです。石の置き方が溝にあたって制限されてしまいました。

石を並べて、メインのモミジを配したところ。根鉢が全然埋まらないのがわかります。

 さらに左からヒイラギナンテン、ジューンベリーを配します。
 こちらは何とか土を加えれば埋まりそうです。
 何とか石も全体を囲むことができました。

 さらに手前に、ミツバツツジ、アセビ、紅花と白花のサツキを植えて、土を入れます。
 地面を均しながら剪定して樹木を仕上げます。
 根鉢の大きいモミジは、そこだけ盛り上げ築山風に。

 こちらはドアの右側の植栽。かなりぎりぎりなスペースでした。
 石は砂を敷いて配管の上と、電気のケーブルの間などにうまく並べました。
 庭木はピンク花のシャラの株立ちと多行松。大きくなくても松などが入ると庭に高級感が出ます。

 今回は室外機が全体の中で目立っております。何とかならないかという御相談に、室外機カバーを用意。
 最初に使う予定だった木と竹の組み合わせのカバーは、改めて室外機の大きさを測りなおしてみると使えないことが判明。急きょこちらを見つけました。
 製品によって意外とサイズが微妙に異なります。購入の際にはよく確認された方がよいですよ。

 室外機カバーを取り付け、下草を植えて、植え込みを完成させます。
室外機カバーは軽いので、レンガの上に乗せた4つ足に、それぞれ竹で根杭を打っています。

 扉の開く角度を考慮して、石の配し方も考えました。
実際の扉の長さ分は、思いっきり開くことになっても当たらないように、ぎりぎりまで石も低くしてあります。ここは着物を着て出てくることを念頭に、なるべく出入りしやすいデザインにしています。

 砂利を敷き、細部を仕上げると、それなりに趣ある庭園になりました。お客様にとって初めてのお庭です。

後日、山本建設さんの方で、玄関前に石を敷きました。

 もともと家の方が使っていた砂利を流用しました。ロックガーデンでしたが、あつらえてみると、ちゃんと庭になじみます。