剪  定

大きな木の枝下ろし

大きな木は庭に一本は欲しいと思うもの。
そのいっぱい伸ばした枝や太い幹は、生命にあふれ、家全体を良い気で包みます。
しかし、現実問題大きい木は管理が大変です。
落ち葉は遠くまで散っていくし、家は日陰になる、何より近所と仲が悪くなるのはイヤ。
なので手に負えなくなると、皆さん「思い切って切り倒そう!」と結論に達します。
とても気持ちは分かるのですが、木も生きています。その恩恵で息が出来るのですし。
伐採作業とは、やる方としても正直心の痛い作業です。
なので、伐採は最終手段、その前に木を小さくすることで立派に成長している木を残すという手段はいかがでしょうか?

伐採、という仕事と違って、枝下ろしは木を枯らさないように切らねばならず、切り方もきちんと、樹形も乱れないように、など時間的にも何倍も労力を必要とします。
しかし、生き物を生かすために切る、作業は気持ちの上ではやる気が違います。
なかなか一般の方にこの作業は出来るものではありません。
もし、切るか生かすか迷ったとき、一度ご相談してみてください。

 立派に成長を遂げた柏の木。先代が大切に育ててきました。
このたび、木の左側が分譲地になり、家が建つわけではありませんが、境界内に収める必要があります。
 お客様は、受け継いだ大切な木を出来れば残したい、と我が家に枝下ろしの依頼をいただきました。
 とは言え時期は九月。落葉樹を葉っぱ無しに切り落とすにはまだ時期がよくありません。先ずは、今切れる限界で切り詰めておくことにしました。

 幹の根元は、完全に芯が朽ちています。これでも木は生きていて、あれだけの枝をほこらせています。
 周りに花を植えていた若奥さまが、この空洞の中にスズメバチの巣を発見して大騒ぎになったこともあるそうです。
木と共に、人も思い出を作ってきたのですね。簡単に「伐採する」とならずによかったと思います。

 枝を切るときのコツは、何より切れるのこぎりを用意すること。
そして、下から切り込みを入れておくこと。枝の重みで、のこぎりが抜けなくならない程度に、切込みを入れましょう。

 ではどのくらいまで切ればよいか?正直それを書くことは非常に難しいことです。
どうしても経験で切っているところが大きいため、その場に合わせた切り方をするもので、マニュアルがありません。
 写真の柏の木は、左側から切っています。
人のいる、左側の枝を見てもらえばわかりますが、必ず切った枝の下には、小枝でも葉の出ている枝が残してあります。
このように、必ず葉のある枝を残す手入れをしてください。葉が残ればそこから新芽が吹いていきますが、ない枝は確実に枯れます。(これが落葉期であれば、もっと自由に切っても芽は吹きます。)
ちなみに、様子を見て少し長めに切ってあります。
もっと切り詰めても形が整えば、さらに一段低くします。切り口からの枯れこみが心配な方は、保護材を塗ってください。

 下に切り込みを入れたら、上から一気に。
日本ののこぎりは引くときに切れますから、引きながら力強く、リズムを取りながら切り口がデコボコにならないように切りましょう。
 芯を過ぎると、重みで割れていきます。
下から切り込みを入れていることで、途中で’ポキンッ’と折れます。そうしたら出っ張りをきれいに切り整えれば、まっすぐな切り口となります。

 これはあくまでも切り方の一つです。
実際の現場では、高いところから落とすため、わざと上からしか切らないでゆっくり落とすとか、切ったさらに内側から切り戻したりと、テクニックを駆使し作業します。

 下から切り込まないと、このように皮がむけてしまいます。
 桜、ケヤキなど、皮に柔軟性のある木は、とんでもないところまでむけてしまうこともあるので、さらに注意です。

 木の高さは半分に。落葉期なら、さらに切り落とすことも可能です。

 玄関前にて大きくなりすぎたエノキ。
数年ごとに枝下ろしをしています。
電線を越えて、電線にかかってしまい、今回枝下ろしを頼まれました。家の前の御神木的存在です。

 上写真は下枝を落としたところ。

 ここのところ暖冬とはいえ、落葉期12月の作業。柏の木ときのような配慮無しに、切れるだけ小さくしてしまいます。
家には松が邪魔でユニック付きトラックは入れない。外は電線が高くて、しかも交通量のある通りで大型車を止めるのは大変という状況の中、全て人力にてロープで枝をつり下ろして、なるべく小さくします。4m以上の長さの枝が上から下りてくるのです。

 この電線に絡む枝には苦労しました。

 10数mあった木も、今や8mくらいです。
作業にして半日。朝とは別の木になりました。
しかし、雲ひとつない五月晴れ。青い空に、また来年には枝を広げだすのでしょう。次回は3年後か、4年後か。


相嶋造園

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