剪 定

専門集団に頼むケヤキの枝下ろし

前回、アカシアの伐採でお願いした石川造園さんは、いわゆる同業者。
普段は自分と同じレベルの仕事をしながら、実は高所もできるオールマイティの強者たちです。
今回ここにご紹介するのは、クレーンを使った高木の枝下ろしを専門に行う強者たち。
クレーン担当、枝打ち担当、下から指示する担当、周囲を見張りながら片付けする担当、それぞれが仕事をわきまえながら、効率よく作業をこなします。
専門集団ならではのチームワークと、素早い仕事に目を見張ります。

相嶋造園

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無事に枝下ろし終了です!
3日でこれ全部やってのけられたのも、お互いのコンビネーションと専門職の技術の高さからです。うちも2回目の依頼だったので、やり方がわかっていたので安心でした。
「これでまた20年やらなくていいよな?」と住職に聞かれましたが、こういうぶつ切りだと枝が放射状に切り口から伸びるので、できればその前に簡単にできるうちの切りたいですね。
住職には「10年後またやりましょうよ。」と言っておきましたが。
そこには、今回の専門集団の年齢もあります。引退する前にもう一度お願いしたいです。もしくはこれだけの仕事のできる方々に会えればいいんですけどね。

 「寺の周りのケヤキの高さがそろそろ限界になってきたから切り詰めたいんだが?」と、富蔵院の住職から相談されました。
確かに山門周辺に植えてある(というか生えていた)ケヤキは、20数年間手を入れていなかったせいで、目を見張る大きさに成長しており、近隣にも落ち葉などで迷惑をかけております。
「時期は任せるから、都合がいいときにやってよ。」とのこと。
相談は夏にいただきましたが、作業としては葉のない時期の方が軽くなるし、切り詰めるのも楽です。
我が家の大木の伐採でもお世話になった、茨城の専門集団に声をかけました。

 山門周辺にある5本のケヤキと裏手の1本、さらに1本の大イチョウの枝下ろしです。20m以上の大木になっている木もあります。木の下に建物や植栽がなければ、直接落とすこともできる枝もありますが、ここは全てクレーンかロープで吊って下ろしていくしかありません。

 在りし日の大イチョウと山モミジの見事な紅葉のコントラスト。遠くからでも見える地元のシンボルです。大イチョウは、20数年前にこの場所に移植しましたが、その作業も記録があれば掲載したい一大プロジェクトでした。
 ずっと昔に、台風で途中から折れたそうで、それでもよく元気になりました。その折れた太い幹部分まで切り下げる計画です。

 もう1本枝下ろしをするのが、裏手の駐車場にある1本ケヤキです。こちらが今回最大の大きさです。立派な立ち姿に、幹を買いに来る材木屋さんもいました。駐車場なので、落ちた枝で車を傷つけた時のために保険に入っています。現在気苦労の絶えない状態です。

 お寺の都合により(法事が入ってしまいました)、裏手の邪魔にならない駐車場のところのケヤキから小さくすることにします。

 下から見上げていると、そう大きくないように見えますが、20mを越す大木です。真っ直ぐな太い幹の部分だけでも10mあります。
 20tのラフテレーンクレーンで枝を吊りおろします(最大で約30mまで伸びます)が、もちろん枝は登って切ります!高所専門の枝下ろし職人さんが、一人で作業します。重装備代と危険代込みで、我々の日当の倍以上を稼ぎます(さらに日当7万円!という匠もおります!)。何が一番違うかと言うと、スピードです。登っていくスピードも、クレーンオペレーターとのやり取りも、しかも切る位置もできるだけ長く処理するので桁外れに早い!です。ありがたいことに、こちらは下から切る位置を指示するだけ。クレーンも大きいので、一気に切り戻したいところまでスパッといきます。

 いきなり2建ての住宅と同じ高さの枝が下りてきます。下では、3人の職人さんと我が家で3人の6人で枝を切り詰め、堆肥センターに運べるサイズにして車に載せていきます。1本枝を落としただけで劇的に切った感が出ます。。

 現場で見ていると、一切りごとに形が変わるのがよくわかります。右写真は、剪定枝を置きに行っている堆肥センターからの眺めです。ちょうど電柱に重なってしまいましたが、切る前はクレーンの高さまで枝が伸びていました。その右側のケヤキが山門前の木です。これからここからの眺めがどう変わるか楽しみです。

 我が家は造園会社ですので、ただ切り詰めるのではなく、切ったあとの形も気にする必要があります。
全体の形が円錐形になるように、下に行くほど長めに枝を切ります。本来ならもっと小さくしてもいいと思うのですが、今回はこの大きさで収めました。横に並んだ軽トラックの大きさから考えると、やっぱり立派な木ですわ。
今回の木の中では、単独で立っていたせいで一番幅広く、形よくできていた木です。これが午前中できれいになってしまったのですから、さすがのチームワークと、枝打ちの方の技術のほどがよくわかりました。おかげで自分も休む暇がまったくありませんでした。

続いて、表の木々の枝下ろしを行います。

 法事の終了と共に、表の作業に入ります。先ずは大イチョウから行います。
このイチョウ、実は波乱な人生を生きております。
一度は台風の影響で、途中からポキリと折れています。また、20数年前の建て替えの時は、クレーン2台を使って吊り上げ移植されました。人が2人で手を広げて届かすほどの太い幹ですから、根も相当大きかったそうです。1年前から根回しして動かしたそうです。まさに移植大作戦に書きたい記事でしたね。7m位の高さに位置する幹の枝分かれ地点で切り詰めることにします。ここなら我が家のクレーンでも届かすことのできる高さになりますし。
 イチョウの枝は、長くとも素直な伸び方とやわらかさで作業はケヤキよりずっと楽に行えます。

 すでにいくつもの新芽が見受けられます。この枝吹きのよさも魅力的な木です。葉は毒性があり堆肥センターには運べませんが、幹はオッケーとのこと。
 1時間もかからずに、あの広がっていた枝がうそのようになくなりました。

 息つくまもなく、枝打ち職人はケヤキの天辺に移動。最初の1本目が高さの基準となります。

 この高さが、今回の切り詰める位置になりました。個人的にはもう一段いっちゃっていい気もしますが、住職もこれでオッケーとなりましたので、これに合わせて全てのケヤキが切られていきます。確かにあまり小さすぎても迫力はないですからね。

 最初にケヤキを切り詰めた、裏手駐車場から見た、山門前のクレーンの伸び。近所の方が、「何をやってるんだろう?」と出てくるのも頷ける目立ち方です。記録写真を撮る方も出現しました。

 こちら堆肥センターから見た作業状況。あまり変化は感じませんが、電柱の左側が空間広くなったのと、ケヤキの奥行が薄くなりました。写真だとちょっとわかりづらいですね。

 そうこうしている間に、作業はどんどん進んでいきます。頭の位置を決めたら、次の枝へと形を見ながら小さくしていきます。切り詰めるのは内側でも、吊り下ろすためのワイヤーをかけるために、先端部まで行かなければならないので危険な作業です。安全帯以外にも、雪山で使うようなスパイクを足袋に装着して登っています。

 写真を撮る暇もなく、続いてお隣のケヤキを切り詰めます。最初の大きさを参考に、なるべく短くしてもらいます。

 並ぶとわかりますが、普段カゴで切っている常緑樹と同じ高さの枝が降りてくるんです。

 切る人一人に対して、枝処理係は7人!それでも軽トラに載せる大きさ切って、載せてるだけで追われます。上記は大胆な昼寝シーン。さすがやることが豪快ですわ。

 堆肥センターからの眺めも変わりましたね。空が広くなりました。もう一息で終わります。ちなみに、右側は神社のケヤキになりますので、このままです。見た目はバランスよくないですけど…。

 後は最後の樹木の片側だけです。切ってみないと見た目がわからないこともあるので、一度切ってから切り戻す場合もあります。ですので終わったら仕上げをし直す枝もあります。ケヤキは硬いので、全部で5台のチェーンソーの刃も、目立てしていてもそろそろ限界です。

 最終日は、道路を封鎖しての作業です。警備員さんを2人お願いしての大仕事。木が密集しているせいで、1本ごとの枝張りは少なく作業がはかどっております。しかし、すごくひねた形に枝が伸びちゃっています。20数年前切った後をそのままにしていたせいもあります。やはり途中で手入れした方が形よくなったと思いますね。

 もうクレーンで吊る枝はなくなりました。最後に下枝を切り落とします。ケヤキの幹のすぐ右側は、神社の参道です。出ている枝は、無条件に切り詰めます。
 ケヤキの間を縫うお寺の山門と参道側は、見栄えよく切って、伸びたら頭上に枝が来るよう形を気にします。この辺が庭師の行う枝下ろし作業の細かいところですが、後後差が出てくるんです。
 専門集団も、その辺の違いをわかってくれているので、こちらの言い分を聞いてくれてありがたいです。

 「いやー切ったね~。」堆肥センターの人たちも、作業が見えているので感動しております。1日11台、3日で33台!計16トンになる枝を運びましたからね。有料だったらいくらになっていたことか…。

 掃除なら俺に任せろ!
次男が手伝ってくれます。最初は現場の人たちも危ながっていましたが、途中からはマスコットキャラになりました。堆肥センターでも人気者です。

 例えば、枝おろしの時は、我が家では木を傷めないために、有機質のチェーンソーオイル(バイオ・オイル)を使います(ただし100パーセントではありませんが)。彼らはそういうことを考えたことはないそうです(存在すら知りませんでした)。伐採仕事が多いからでもあります。根本的に、その専門集団と、我々の仕事は認識が違います。だからこそ、お互いを認め合い、それぞれのプロフェッショナルとして対等に話ができるのかもしれません。
 嫌がる同業者も多いですが、自分は横のつながりが大切だと思っております。この方々と知り合えたのも、元はお金にならない手伝いからです。お客様との出会いのように、業者間の出会いだって大切なことなんだと思えますし、そういう人とのつながりが大好きだから、余計この仕事辞められないですよ!(ただし、仕事不足で廃業の可能性も冗談でなくありますので、最近意外と危機感が強くなりました。でも相互扶助は忘れません。)