剪  定

毎年の剪定で変わっていくお庭 〜1年目〜
 

「剪定記事の中で、小さくした樹木は今はどうなっているのですか?」
「丸ごと手入れしたお庭は、その後も良くなってますか?」
というような内容の質問をいただくことがあります。
正直に書くと、よくなったもの、ダメになったもの、あれから頼まれないな〜もの、全てがうまくいっていると言いたいところですが、そこまではちょっと難しい状態です。

庭の剪定内容は、頼まれる人によって、やり方も値段も全然変わってしまいます。
今回は、そういう全てをひっくるめた上で、新たにご依頼いただいたお客様のお宅を、これから毎年剪定していく中でどう変わるか追っかけてみたいと思います。
もちろんよくすることが目的ですが、年数の中で色々出てくることも掲載いたします。

今までの方の行っていた日数と、金額からできる限りでやらせていただきました。
いっぺんにきれいにするには大変な作業ですが、毎年一定の金額でどんどん良くなっていく楽しみは、単に毎年伸びたから切るという単純作業とも違う期待感があります。
「切る人によってここまで違うんだねぇ。」
というお客様のお言葉はごもっとも。
ある予算の中で、どこまでいい仕事ができるか、自分も更なる精進を重ねて、さらにいい仕事ができるようになりたいと思います。
この1年目の手入れから、来年はどんなお庭にしていけるでしょう?
こちらもプロなので、切りながらすでに来年のイメージと、来年はこう切ろうという目論見はあります。
次回、またこのお庭との対面が楽しみです。ご期待ください。

相嶋造園

 庭の状態を見てほしい、という依頼をいただきました。
毎年、近所の植木屋さんに頼んでいるけど、だんだん木が大きくなり、樹形も荒れてきたようで心配しているとのこと。
先ずは、お庭を拝見させていただきました。

 毎年12月末に剪定を頼んでいるそうです。毎年やっていても、この伸び方はちょっとまずいですね。「親方年を取ってきたせいかな?年々木がぼさぼさになっていくんだよ。」聞くと機械など使わず、手作業で剪定しているとのこと。ならば、なのさら毎年深く切ることをしないで、同じ量だけ剪定していたら、自然と木は大きくなっていきます。どうしようもなくなって頼まれることも多々ありますが、まだ間に合うときでよかったです。

 お客様の先代が、石屋さんと共に作った庭だそうで、大きな石が随所に置かれていて、それを被せるようにまた大きな樹木も植えられています。その後、今のご主人が、奥様ともう少し使いやすいようにいじったそうですが、基本は当時とほとんど変わっておりません。管理は、先代が懇意にされていた近所の庭師が年に一度、手入れに来ているそうです。

 お客様自身もその次の代にお庭を引き継ぎたいと考えています。できるだけ管理しやすくして渡したいと思っております。いずれは本数も減らしてく考えです。そのために、木の大きさを小さくして、それから残す樹木を選定していきます。
 お聞きすると、今までは大体2人で一週間来られて手入れするそうです。なら、こちらもその人数で、毎年少しずつ良くしていく手入れをしましょう。そうとは言え、こちらは機械も使いますし、作業費もかかります。その分ごみ処理は、堆肥センターに一緒に捨てに行くことで無料で行う(野田市民、流山市民限定の裏ワザです)など少し協力いただいて、費用のアップは最小限に抑えます。作業は、我が家の都合と、常緑樹の強剪定を考慮し、9月下旬から10月に行わせていただきます。

では、実際に作業しながら全体をみていきたいと思います。

 写真の見た目以上に道路にはみ出しています。自転車ならかなり車道寄りを行かないと通れません。樹木同士もくっついて、喧嘩しながら伸びている感じです。

 中心から遠いところから始めます。ここはごみを運ぶのも遠い地点。近くより移動が面倒ですが、疲れていないうちにそういうところはやってしまいたいです。それに先に近い場所をやってしまうと、その上にゴミを落としながら先に進むことになるのも嫌ですから。

 剪定をするときに大切なのは、確固たる意志を持って臨むことです。この場所なら、一番優先すべきは道路からはみ出して歩行者の迷惑になることは避けることです。花や、樹形を考慮する前に、先ずはそういう状態になるように切っていきます。これだけ伸ばされてしまうと、この時期ではこのあたりが限界です。これだけの刈り込みを手で行うと、10時のお茶前たっぷりかかりますが、エンジンバリカンなら30分で仕上げられます。せめぎ合っていた木同士も独立しました。

 こちらも家の外側に位置する木なので先に手を付けます。実は赤松です。松というのは、その場にあった仕立て方をすると大変すばらしい見栄えになります。特に自然と枝の下がってくる柔らかめの葉の赤松は、枝ぶりより、品の良さを感じる自然な出来栄えにしたいものです。とにかく幹が見えるまで枝葉を落とし、樹形にこれからの方向性を示します。

 相当混みこみのマキと、手前のキャラボク。兄弟のようにくっついて写っているので、判別難しくてすみません。マキも表面だけを刈り込みで仕上げていたので、厚みも出ているし、中も真っ暗に混んでいます。キャラも周りの玉物とくっついているし、存在感が今一つ。石も見えなくなっています。やはりどれも適正なサイズにしてかなければおかしいです。

 マキは、このサイトでもおなじみ剪定作業の記事には欠かせない木です。形をきれいに整え、必要なら枝を下げ、できるだけ中を透かしてすっきりさせます。しかし、あまり取り上げる機会が多いので、今回は母に任せて自分はキャラをカッコよくする作業を行います。

 うまい写真を残していなくて、かなりわかりにくい写真で申し訳ないです。キャラを見てみると、蒸れて枯れてしまっている場所もありますし、最初に掲載した赤松同様、なし崩しに切ってあるので樹形も何もあったものではありません。キャラこそ、ある程度の玉仕立てにしないとおかしいので、枝を分けるように思い切って幹元から数本太い枝を切ってしまいます。暑さと乾燥にに弱い木ですから、刈り込み自体は弱めにしておきます。

 下植えのサツキもどれだかわかりません。枝がそのままサツキの寄せ植えに埋もれてしまっているのです。ここは決断して太い枝もためらわずに元からカット!残った枝葉の成長に期待します。

 

 円形にくっついていた枝が独立しました。上下の枝にも段差ができました。枝の付け根から出ている枝葉は、枝の形を作るには込み入ってしまうので、ここでは切ってしまいました。おかげで芯の幹が見えるようになり、それぞれ独立した枝にも感じるようになります。内側からの新しい新芽にも期待したいですね。

 これでキャラ自体はすっきりさせられました。最後に下枝と、下植えのサツキの剪定です。ちなみにキャラの下枝よりサツキの植え込みの方が大きくなっていて同化してしまっています。ここは思い切って切り込んでどちらも分けるようにします。

 裏手のマキも終わったようです。高・中・低のすべての木がそれぞれの良さを出せるように仕立てていきます。今年はまだ方向性だけですが、来年はさらによくなっていけるでしょう。

 今度はこちらの一角を掲載します。驚くほど大きくなってしまったツツジとツゲの玉物が目をひきます。梅もかなり混んでいますね。高さを出してしまうと余計剪定は大変になり、雑になってしまいます。できるだけ楽できるように小さくしたいと思います。

 高野マキは頭が枯れこんできています。今年は周りをそろえて枝抜きして透かすだけにして様子を見ます。梅は細かい枝を少しは残すようにしながら、太い部分を落とし、二回り小さいサイズにしていきます。ツツジも思い切って刈り込みました。そうしないと脚立を入れ込むのも大変です。

 ツツジのようには思い切って刈り込めないのが大きくしてしまったツゲの悩みです。とは言えあまりにも巨大になので、ギリギリまで追い込んでみます。「枯れちゃってもいいから。」とお客さんはおっしゃりますが、最初から枯らすわけにもいきません。

 とりあえず葉が少しは残る状態までギリギリに追い込みます。意外と元気がいいことに期待をしております。せめて裏手の灯篭が目立つくらいの大きさまで小さくしたいですね。来年どの程度葉が出るかで次を考えていきます。

 梅の頭が小さくなっただけに、こじんまりとなった印象を受けます。ツツジもかなりいい感じ。コウヤマキも来年の状態によって小さくしましょう。問題はツゲかな…。

 松の手入れは、特に時間のかかるものです。早く終わらせるには手抜きは必要です。うまく手抜きできるか、それともただカッコ悪くなるかは見ればすぐわかります。これではどうも手を抜きすぎているように映っています。全てひとかたまりに作ってしまう悪い癖ですね。これだけのいい素材をもったいないことです。この松は細いですがいい枝垂れ方をしている素晴らしい木です。

 見ただけで鬱陶しいモチノキ。周りも鬱陶しい!木の数が多いので余計にすっきりさせることを意識しないといけないのに、育ってしまったせいで段々形も悪くしてしまっています。ここは強い意志を持って枝抜きを敢行します!

 モチが大きくて大変だったとしても、せめて玉物だけでも小さくできたと思うのですが…。こちらの庭石はどれも大きめです。それをさらに覆うような庭木は信じられません。お客様が疑問に思うのも当然です。

 モチは頭を落とさない限り高さを変えることはできません。なのでできるだけ追い込んで全体を小さくします。裏手や内側の枝は抜いてしまいます。キンモクセイも50cm切り下げて、台があれば届く高さをめざします。今度は枝の間から青空が見えだしましたよ。

 邪魔な下枝や、重なっている部分を切り分け、石の大きさとも相対させながらまとめあげました。気持ちよくすっきりしました。来年はさらにキンモクセイなどを小さくします。

 とにかく、刈り込みの甘さがひどすぎます!もちろん、年末の手入れでは花芽がなくなる切り方は避けたいです。そのためこちらのサツキのようにおかしい形にくっついて、石が完全に隠れてしまうことになっても仕方がないとする考えもあるでしょう。毎年小さくはできないなら、せめて1年おきに大きさを調整して花を楽しむことにしてもいいと思います。今年は有無を言わさず小さくします!

 少し枯れこむのを覚悟で思いっきり切り込みます。他のサツキ、ツツジ類もできるだけ高さを抑えます。こういうものが大きくなっていることほどバランスの崩れることはありません。

 ロータリーにある松。三河の方の松だそうです。竹を添えて枝を枝を補強してあります。これはいい感じにできています。なので、このままスタイルは変えずに、形の崩れている頭などを修正します。また、枝が円形のサツキに重なっています。高さを低くしながら水平に切り、エッジに丸みをもたせて大きく見えないように工夫します。

 サルスベリが大きくなっています。枝が伸びているだけでなく、傾きながら先を伸ばしたせいで倒れる危険性もあります。なので70cmくらい高さもつめて枝の伸ばし方を変えていきます。
奥のカエデがかなり枯れこんでいます。こちらはちょっと心配。今枯れているところは幹から切りましたが、さらに枯れこんでいきそうなので、来年以降様子を見ます。
写真には写っていませんが、左側にあるモッコクもかなり切り詰めました。来年はもっと枝抜きして透かしたいと考えます。

 これ、なんの木だと思いますか?実はオリーブです。いつもこれは手が回らず剪定してもらえないそうです。なので、家の方が生垣みたく刈り込んで四角くしていました。入り口前で、車の出し入れに邪魔な場所なので、小さくしておきたい木です。その上で1本の木のように仕立ててみました。できるだけ間を抜いてすっきりさせます。これなら枝先伸びても刈り込みできれいにできます。ここに植えられて10年、初めて枝抜きをされた木でもあります。お客様も喜んでいらっしゃいました。これからは、さらに自然樹形に近づけるように剪定する予定です。

 笑ってはいけませんが、キノコ?「前来ていた植木屋さんに、玄関前で大きくなりすぎだから小さくして、って頼んだら下枝をみんな切って、こんな形にされちゃったんです。素人にもおかしいってわかりますよ!」本来、この多行松という松は、円形にのびやかに仕立てるもので、これだけしか葉がないのはちょっとカッコ悪いです。小さくするなら横幅を詰めるべきでした。仕方がないので今年は透かして終わりにします。下枝は切り上げましたが、表面しか切っていない手入れはそのままなので、ひどい絡みようでした。来年さらに枝抜きをします。

全体をギャラリー風に振り返ってみます。